天賞堂の古いDD13(0番台)は、台車がイコライザー付きのDT105なので、84号機までの最初期のものになります。
この模型の動力伝導方式はと言うと、中央に燃料タンクのスペースを利用して縦型モーターの半分を埋め込み、スパーギヤで降ろし、車軸に付けたウォームギヤとをコの字型につないで動力を伝導するという機関車の形状を生かした合理的な方式をとっています。
しかし、今回取り上げる個体は、動力が不調で不動のまま長らくお蔵入りしていました。
天賞堂のDD13は、同じタイプのモデルをもう1台所有していて、それも中古であることを承知の上で購入し、割れたスパーギヤを取り替えて直したことがありました。
プラ製のスパーギヤの割れはこのモデルの弱点です。
不動の原因はやはり同じだろうと推測できます。
それで、お盆休みの期間が終わるまでに何とかしようと、やる気が湧いてきて、さっそく修繕作業に取り掛かりました。
さて、台車を車体から外し分解してみると、案の定、プラスチック製のスパーギヤに割れ目が入っていて、引っかかって動かなかったのです。
§失敗に終わった修繕方法〜スパーギヤの交換)
前に修理した時の記憶があり、モジュール0.5、歯の数20枚さえ間違えなければ、ギヤを交換すれば治るはずだと考えAmazonプライムでその規格のスパーギヤ(協育歯車社製)を2枚購入しました。
記憶では、以前修理した時は大きな2次加工することなく、スーッと交換できたはずですが、今回はいくらネットを探してもバッチリの歯車が見つかりませんでした。
(左のスパーギヤ、結構なお値段でした。)
(再組立を考えて、分解したパーツの写真を撮っておきます。
(幅詰めを糸鋸で行う際にガイドにしたのが、内径10mmのサインペンのキャップ。外径10mmはたくさんあるが、内径10mmは案外少ない。)
2次加工は、①中央の軸穴を5mmに広げる。そして、②幅を2.5mmに狭めるというもので、手持ちの安いドライバードリルと、糸鋸、平ヤスリといった道具では、きわめて正確さを要求される工作には耐えうるものではありません。
しかし、そんなことは重々承知でも、エイヤー(掛け声は出しませんが)とばかりカットし、何度もヤスリがけにより物合わせで調整を図りながら作ってしまいました。
何度も微調整し2次加工したスパーギヤを台車にセットして試運転した結果、これなら良かろうとギリギリ及第点を与えられると思ったまさにその直後、問題のない側の台車のスパーギヤが割れて、割れた部分が飛び散ってしまったのです。
この模型自体、製造されてから相当の年数が経っていて、おそらく耐用年数を超えてるだろうからギヤー割れもやむを得ないことと思います。
しかし、スパーギヤが割れて飛んでいった光景を見た瞬間に、「これはもうムリ」とスッカリ頭を切り替え、別の動力伝達方式を採用する方向で考え直すことにしました。
§うまくいった修繕方法〜デジタルパワートラックの装着
台車の軸距は、実物2300mmで1/80サイズにすると、28.75になりますが、モデルの方は、27mmで若干短くなっています。
現在では、#16の鉄道模型の電動装置には様々な方式がありますが、軸距27.5mmだと各社から出ています。
エンドウのMPギヤ
WB27(#6628、#6629など)、軸距は27.5mm。
カツミACEギア
WB27.5 (#15-85-2750P)
IMONギア
PU197
16ギ13:2PL27.5
天賞堂 コアレスパワートラック
27.5P(#05003)
上記はいずれも電車用で車輪径は、φ10.5まで、ギヤも電車に相応しいギア比の仕様になります。
いわゆるMPギヤ系では、モーターと繋ぐジョイントを入れるのは難しいと判断して、結果的に天賞堂のコアレスパワトラを採用するという結論になりました。
(軸距に0.5mmの誤差がありますが、 台車枠の軸穴を少し広げれば、対応可と判断してGOサイン出しました。最悪、コアレスパワトラの軸をcutして台車枠からフリーにしてあげると言う最終手段もある。)
そうと決まれば、躊躇いなくDT105台車は、ハンダ付けにより付けられていたマクラバリを引っ剥がし、台車枠受けと呼ばれるパーツ(2種類が付属していてその中からAタイプを選択する)が台車枠にビス留めできるよう、0.8mm厚の真鍮板を加工した小片を台車枠にハンダ付けしました。
(床板の加工)
また、床板の方も、既存のウォームギア対応の台車支えのパーツは外すとともに、パワトラの可動域の確保すべく穴も大きくしました。
ボルスターは0.8mm厚の真鍮板から作りました。
台車の高さ調整が必要になりますが、はじめに考えていた床下に取り付ける方法だと、収まりはいいのですが、燃料タンクの加工が必要になり、これが結構面倒くさいので床上から取り付ける方法に変更しました。
その後、そのままでは、台車枠の幅が広すぎて車軸が外れやすいことがわかり、台車枠受けを短くカットするなど調整して台車へのコアレスパワトラの装着は事なきを得ました。
試運転の結果、静々と滑るよう静かな走りに、やはり今時のモデルらしいと納得しました。
しかし、コアレスパワトラは元々が電車用で、ラピッドスタートなところは、DD13には違和感を感じてもいます。
やはり、オリジナルの、ガリガリギアを刻む音を立てて勇ましく走る方が機関車らしいし、私は好きだなあと思います。