模範解答です。
〈釈文〉
請負申証文之事
一其御村掃除丁場三拾六間四尺也
右者当午暮ゟ来ル未十二月十五日迄金壱両ニ
相定只今慥ニ請取申候処実正ニ御座候月並
定掃除又者御大名様方御通行之節駒寄・
芝巻積土持等ニ至迄此方ニて相勤少も御苦労掛
申間敷候万一大水ニて大分人足入用之節者御村ゟ
御助可被下候為後日証文仍而如件
伊奈村東屋町
安政五年 請負主 兵三郎 (印)
午十二月 同 市左衛門(印)
同 又三郎 (印)
庄屋 彦三郎 (印)
同 半右衛門(印)
一之宮村
御役人中様
〈語句〉
・丁場(ちょうば)・・・一つの指定された場所で仕事をする。
・如件(くだんのごとし)・・・以上。
〈現代語訳〉
請負いの証文
一その村掃除丁場、三十六間四尺。右は今年、午の暮より来年の十二月まで、金一両と決め、私の村で確かに引受けることは確かです。月 例の掃除や大名様たちの通行の時、馬の提供や芝・積土などの掃除をこちらの村でし、そちらには全く苦労をお掛け致しません。もし、大水で人足が多く必要な場合、そちらへ助けを求めます。後日のための証文は以上の通りです。
〈考察〉
伊奈村、一之宮村ともに三河国宝飯郡に所属していることから、東海道の通行の役負担につい
ての文書で、伊奈村が代金を介して一之宮村より後者の掃除丁場を預かったのだろう。東海
道の運営システムがわかると同時に、おそらく、伊奈村では困窮しているか、生業について
ない者が多かったと察することができる。