🔷 「結婚前」の中の「出逢い」を掲載します。🔷
タイトルは『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)です。
2016年1月25日 発行
著者 藤巻 隆
発行所 ブイツーソリューション
✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第17回)✍
「結婚前」の中の「出逢い」を掲載します。
結婚前(2)
出逢い
由美子との出逢いは偶然でした。平成二年(一九九〇)頃、私は東京都新宿区に本社があった洋販(日本洋書販売配給、後に日本洋書販売に改称)という、外国の書籍・雑誌の輸入卸会社で経理部員として勤務していました。当時の洋販は業績好調で、売り上げは右肩上がりで推移していました。このまま推移すると、現状の経理部員だけでは、業務に支障をきたしかねない状況でした。テンポラリーセンター(既出)に連絡し、経理を任せられる女性を派遣してもらいました。
最初に来てもらった女性は能力が高かったのですが、当社のやり方に何かとケチをつけ「やり方が違います!」と指摘するばかりでした。これでは周囲の人間とうまくやっていくことはできない、と経理部長と私が判断し、テンポラリーセンターに連絡し、他の人に代えてもらいました。二人目の経理担当の女性が、由美子だったのです。もし、最初の女性ですんでいたら、由美子と私の出逢いは永遠になかったかもしれません。まさに偶然でした。いえ、後から考えると必然だったのかもしれません。
由美子は、膝上一〇センチ程のミニスカートをはいて出社してきました。由美子は脚線美の持ち主でした。経営者(創業者のうちの二人の副社長)は、由美子が毎日ミニスカートをはいて出社してくることに好感(?)を抱き、いつもニコニコしていたことが思い出されます。目の保養になっていたのでしょうね(笑)
由美子は、私にとっても大いに気になる存在でした。由美子が近くにいるだけで職場が華やかになりましたから。徐々に、仕事を通じて話す機会が増えてきました。私が何か訊(たず)ねると、由美子はいつもにこやかに、ハキハキと答えてくれました。
やがて、気になる存在から、運命の出逢いを感じるようになりました。私はこの女性(ひと)と結婚するだろうと。偶然は必然だったのかもしれません。由美子と私はこの世で出逢うように運命づけられていたのでしょう。
私は決して、運命論者でもなければ、占いを信じる人間ではありません。それでもこの時は運命を感じました。由美子と結婚して、幸せな家庭を築いている自分たちを、外部から眺めている自分がいました。そうした想像の世界で戯れていました。幽体離脱ではありませんが、客観視していたのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。
やがて、私は想像の世界から現実の世界へ引き戻されました。
(PP.46-48)
➳ 編集後記
第17回は「結婚前」の中の「出逢い」を書きました。
偶然がいくつも重なると、偶然はやがて必然になると体験を通じて考えるようになりました。
あなたは同様な体験をしたことはありませんか?