意思決定の透明性高め
活力と納得感を生み出す
小枝 至(こえだ・いたる)氏
[日産自動車相談役名誉会長]
販売不振が続いたことで90年代後半、日産は経営危機
に陥ります。99年に仏ルノーと提携し、カルロス・ゴーン
さんが再建役として送り込まれました。
そこから立ち直って今日があるのはご承知の通りです。
カギは、部門横断で議論し、意思決定の透明性を高めた
ことにあったと思います。
2000年4月に実行に移された再建計画、日産リバイバル
プラン(NRP)の目玉は、大胆なコスト削減でした。
総コストの6割を占める購買費を3年間で20%も削減する
という内容です。
NRPの策定に当たっては生産、開発、購買など社内の
各部門から集めた若手課長が、テーマごとに9つのチーム
を作りました。クロスファンクショナルチーム(CFT)と呼ぶ
こうしたチームに入った若手が、抜本的な改革案を検討
したのです。
サプライヤーの選定方法も改めました。調達先を決める
会議に、社内の誰でも出席できるようにして、意見を言える
ようにしました。もし異論があるなら、その場で言わなければ
なりませんし、異論を突き付けられたら、それに答えなければ
なりません。そしてみんなが聞いている前でバシッと決める。
大胆な購買コスト削減をはじめ、大きな成果を上げた改革の
キーワードは透明性だったと考えています。
(2015.04.06号から)

日産自動車相談役名誉会長 小枝 至 氏
「日経ビジネス」 2015.04.06 号 P.001
「日経ビジネスDigital」 2015.04.06 号
「日経ビジネスDigital」 2015.04.06 号
キーワードは、透明性です。
「ゴーン革命」とも呼ばれた日産リバイバル
プラン(NRP)。
瀕死の状態だった日産自動車を復活させた
カルロス・ゴーン氏の評価は、二分されることが
あります。
一つは、外国人であり、しがらみがないため、
大胆な手段を講じることができた、というものです。
もう一つは、片道切符(うまく行かなくてもルノーに
戻れないという、退路を断ったという意味)で日本に
来て、本気でやるという意思表示をし、前倒しで
目標を達成した、というものです。
私は後者の考えを支持します。
クロスファンクショナルチーム(CFT)という考え方
自体は目新しいものではありませんが、ゴーン氏
が導入した真意は次のことにあります。
ゴーン氏がいくら先頭に立って変革しようとしても、
社員が自ら変わろうとしなければ、上手くいかない
ということを熟知していた、と考えています。
小枝氏はこの点に関してこう語っています。
「ゴーンさんのうまいところは、チームが具体的な
目標を上げてくるまで、自分では数字を一切言わ
なかったことです。チームのメンバーが自分たちで
決めたからこそ、20%削減という目標を必死で達成
しようとしたのです」(P.001)
押し付けられた目標では達成できないと抵抗したり、
あるいは数字を操作するといった、後ろ向きの対応
は一番やってはいけないことです。
体の芯から本気でやろうとする気持ちが沸き上がって
こない限り、実現は難しいでしょう。
口先だけで行動しなければ、NRPは絵に描いた餅で
終わっていたことでしょう。
日産自動車はV字回復はしましたが、その後はその
反動で、もう一段の成長が見られないのは残念なこと
です。踊り場にいる期間が少々長いと感じています。
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