今日の巨大な日本経済を築く基礎と
なった誠治・経済のシステムは、
いまや自由競争の徹底や今後の世界
経済の発展のためには、ブレーキを
かける方向に作用している部分がある
ことを直視しなくてはなりません。
そうしたシステムの集大成が、それこそ
要塞国日本(フォートレス・ジャパン)と
呼ばれるまでになっています。在来の
システムに固執することは、つまるところ、
日本を世界から孤立させ、経済の衰退を
招くおそれなしとしません。
(P.306)
(124-1-0-000-412)
人間というものは不思議なもので、
大変に危ない立場にあっても、
自分だけは大丈夫という妙な安心感が
持てるものだ。弾丸の飛び交う戦場
ですらそんな気持ちを持つものらしい。
また、恐ろしい事態にぶつかったり、
危ない橋を渡るときなども、初めは肝を
つぶすけれども、すぐに、そういう環境に
馴れてしまうものであるらしい。
(P.312)
(125-1-0-000-413)
近ごろの、わが国の状態を見ていると、
私には、前と同じことがまた起こるのでは
ないかという気がしてならない。何だか
知らないが、国全体を押しつぶすような
大きなものが、ジリジリと近寄ってきつつ
あるような気がしてならない。
すでに、その前触れと思われる、いろいろな
事件や問題がいくつも出てきているのだが、
もう日本人全体がそれにマヒしてしまっている。
または、「まあ、悪いほうにはいかないだろう」
「たいしたことはあるまい」と、持ち前の
楽観性でタカをくくっている。本気に心配して、
何かをやろう、と立ち上がる気にはとても
なっていないようだ。
こんなことをしていると、われわれ産業人が、
戦後二十数年かかって、やっとつくり上げた
大工業力も、一度にもとのモクアミに帰って
しまう日が来るのではないかと恐れるのである。
(PP.313-314)
(126-1-0-000-414)
「危機感の欠如」、あるいは「茹でガエル現象」、
「成功の復讐」という言葉があります。
別名、大企業病とも言います。
いずれにせよ、現状にあぐらをかいた結果、
しっぺ返しを食らうことになります。
Adaptation precludes adaptability.
(環境に順応し過ぎると、環境に変化が起こると、
適応能力を失ってしまう)
という言葉もあります。
(知識創造企業 野中郁次郎+竹内弘高
東洋経済新報社 1996/03/21)
基本的に人間は怠け者ですから(否定する人も
いますが)、できれば楽をしたくなるものです。
慣れてくると手抜きするようになり、現場に足を
運ばなくなり、現場から最も遠く、現場のことを
知らない本社の人間が指図することで、ますます
消費者の意識から乖離してしまうのです。
盛田さんが危惧していたことが、今日本のあちこちで
起こっていると思います。
日経平均株価がいくら上昇しようと、それは225社の
平均株価であって、日本企業の全体の勢いを示す
ものではありません。
97%の中小企業は疲弊しています。資金が必要な
中小企業に金融機関が融資しないからです。
つまり、必要なところにお金が行き渡っていないの
です。
97%の中小企業が、日本経済を影で支えているのです。
資金は、人間に例えると血液に相当します。
血液が流れなければどうなるか、だれでも分かること
です。
残念ながら、この状況が打開される可能性は低い、
と言わざるを得ません。
表向きは倒産件数は減少していますが、予断を
許さない状況です。今後、増加に転じる可能性は
十分にあります。
記事が面白かったら
ポチッとして下さい。

こちらのブログもご覧ください!
こんなランキング知りたくないですか?
中高年のためのパソコン入門講座(1)
藤巻隆のアーカイブ
私の書棚(読み終わった本の一覧)