2014.06.16
川上 量生 (かわかみ・のぶお)氏
[ドワンゴ会長]
何かグーグルを超える企業を作ろうとか、
そういう気にはなれない。そういうことを
自分に問い掛けてみても、
全くやる気が出ない。
やっぱりコンテンツ業界は今、全般的に
難しい環境で、有効な手を打ていないし、
努力の方向も分からない。
統合してこの先どうなるかは分からない。
みんなこの先が読めない、僕も読めない。
僕はやるからには結果を出そうと思って
いますし、KADOKAWA-DWANGOという枠を
超えて、日本のコンテンツ業界全体に
影響を与えるようなことを狙って
いきたいですね。
僕は新会社で社長をやる気は全くありません。
やっぱりネットでのコンテンツの使われ方は
フェアじゃない。
これはネット側の人間である僕自身、
倫理的に良くないとまず思っていることで、
憤りを感じている部分でもある。
今のコンテンツ業界の弱点は、エンジニアが
いないことです。
ネット時代におけるコンテンツ業界というのは、
自力でプラットフォームを作れる力を持つこと
が決定的に重要で、エンジニアと一体となった
ネット企業にならないと勝負できないわけです。
僕が好きなのは、相手から見て「これはいったい
何を狙っているんだろう、分からない」という
手が好きなんですよ。
逆に、誰もが「これはこういう狙いだろう」と
思うような手は打ちたくない。ライバルに対策
を講じられてしまいますから。
特に、ネットにおける文化やテクノロジーと
いうのは全世界かなり共通化されていますから、
日本で流行ったものは、同じ環境を作ることが
できれば、海外でも成功すると思っています。

(『日経ビジネス』 2014.06.16号 P.074)
ドワンゴは、実に面白い会社です。
「ニコ生」というライブ動画配信を行っている
かと思えば、「ニコニコ超会議」なるものを
開催しています。
日経ビジネスの田村俊一編集長によれば、
今年4月26、27日に幕張メッセで開かれた
「ニコニコ超会議3」。約12万5000人もの
来場者で会場は大いに盛り上がりました。
ネット上のニコニコ動画の世界をリアルな
舞台で再現する同会議。
ということになります。
ドワンゴは東証一部上場企業で、株式時価総額は
1000億円を超えています(下図参照)。

ドワンゴの株価(Yahoo!ファイナンスから)
面白いのは、会社だけではありません。
川上さんの経歴も面白いです。
略歴をご覧ください。
1968年9月6日生まれ。
京都大学工学部卒業後、サラリーマン生活を経て、
IT関連企業のドワンゴを創業した。
スタジオジブリの鈴木敏夫と出会い、
ドワンゴの会長のままスタジオジブリに
入社した。
スタジオジブリでは見習い扱いのため、
無給である。
Wikipedia から
ドワンゴ会長のまま、スタジオジブリの無給社員で
居続けるというのは、なかなかできることでは
ありません。
日経ビジネスの「編集長インタビュー」修了後、
気になる発言をしています。
「あっと驚くようなサービスを近いうちに出しますよ」
(P.059)
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