田中 仁(たなか・ひとし )氏
[ジェイアイエヌ社長)]
小売業界では、入社2年未満のスタッフ
の比率が3割を超えると現場力が落ちる
という通説があります。
ではジェイアイエヌはどうか。何と入社
2年未満が6割以上もいるんですよ。
スキルが未熟なためにお客様を長時間
待たせてしまうことはありました。
「待つならまた来よう」と帰ってしまっ
たお客様も多かった。こうしたお客様に
また来ていただけるとは限りません。
これが大きな機会損失となりました。
さらに視力補正のメガネの売れ筋商品
が店頭で欠品する事態がたびたび発生
してしまいました。
JINSの店頭では約1200種類のメガネを
販売していますから、管理を少しでも
怠るとたちまち売り場が混乱します。
他社や他業界で活躍してきた優秀な
人材を採用できた一方、どこか急成長
のひずみが出た。社員間の横の連携が
うまく取れなくなっていました。
本部が現場の意見をうまく吸い上げて、
それを商品化することを若干怠って
しまったんですね。
組織の改革で重要なのは、社長である
私自身が扇の要となり、会社全体の
方向性をもう一度すり合わせて各事業部
のマネジャーを束ねることです。
急成長して海外展開を積極化している
という意味で、業態は異なりますが、
アパレルのユニクロやスウェーデンの
ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)
は参考になりますね。
業態は違いますが、我々も次世代の
店舗、サービスを作っていくために
ITの活用が欠かせないと考えています。
本部のシステムと業務改革のスタッフ
には、「レールを作り直せ」と指示して
います。レールとは情報のレールであり
コミュニケーションのレールです。
メガネの製造、販売していれば当然、
定番の品揃えは必要になりますよね。
たとえ販売数量は多くなくとも、
そうした商品があるからこそ、
幅広い層のお客様が来店し、
品揃えに満足していただけるのです。
ところがMDや商品企画担当者は
店頭での「消化率」が高くない商品
をどんどん廃番にしてしまっていた。
本来、メガネ店としては置かなくて
はならない商品までもが、そうした
一時の判断で店頭から消されて
しまったんです。
カラーと形状のバリエーションが豊富な
樹脂製の売れ筋フレームを増やして
いった結果、メタル製のフレームが
店頭からなくなっていました。
私もこれには気が付かず、かなり
ショックを受けました。
競合他社に対してはイノベーション
であることが最大の強みですから、
そこはさらに強化していく。
社内に今4人の専任担当がいて、
大学の研究機関などと共同研究を
進めています。今年夏までに4年間
の研究成果を反映した画期的な
新製品を発表する予定です。
日本のメガネ市場は年4000億円。
対する中国は1兆円、米国は1.9兆円
と巨大です。しかも、どちらの市場
も我々が日本で培ってきた事業モデル
が通用すると自信を持っています。
今年4月に米国人など5人が入社、
さらに来春までに欧州などで10人
の外国人を採用する計画です。
究極的には、「メガネをしていない人は
恥ずかしい」という時代を作りたいと
思っています。
(2014.04.21号から)
「日本のメガネ市場は年4000億円。
対する中国は1兆円、米国は1.9兆円と
巨大です」と田中さんは述べています。
成長を持続させていくためには、海外進出
が不可欠です。
JINSは、2010年に中国の瀋陽に1号店を
オープンし、まもなく35店体制になるそうです。
中国事業は既に黒字化を果たしています。
JINSはまだ小さい企業です。
だからこそ、課題を早く見つけられ、早急に
対策が打てます。
インタビューの中で田中さんが答えていますが、
他業種ながらSPA(製造販売)のユニクロや
ヘネス・アンド・マウリッツを参考にしています。
ユニクロをベンチマーキングし、JINSが世界
のメガネ市場で存在感を示すようになるのは、
それほど遠い未来ではないかもしれません。
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