相手を知ればより伝わる
秋山 英一(あきやま・えいいち)氏
[元ロッテショッピング副社長]
1977年6月、51歳の時に、勤めていた九州の
百貨店を辞め、韓国に渡りました。「韓国に
百貨店を作るので、秋山さんに来てほしい」。
ロッテグループからこうした申し出があり、
創業者の重光武雄さんにもお会いして、お世話
になることを決めたのです。
私は店に来たお客様に楽しく買い物をして
もらえるように、日本の百貨店でやっている
ようなお辞儀を導入することにしました。
お客様を大事にする姿勢は間違っていないと
信じ、続けることに決めたのです。すると、
そのうちにほかにもお辞儀をする店が出て
くるようになり、今ではどこの百貨店でも
お辞儀をするのが当たり前になりました。
「おもてなし」を押しつけることはでき
ません。韓国でお辞儀の接客が受け入れ
られたのは、時代や消費者の変化があった
からこそだと思います。日本式の商品や
サービスを導入しても、受け入れられない
ものもありました。ロッテ百貨店のレスト
ランで牛丼を出しましたが、売れません
でした。
「おもてなし」をはじめとする日本の良さ
を世界に伝えていくことはもちろん大切
です。この先、さらに重要になっていく
ことは間違いないでしょう。でも、こちら
の良さを伝えようとするのであればなおの
こと、相手の歴史や文化、生活、価値観
などをきちんと理解しなければなりません。
当たり前のようですが、これが意外に
難しい。35年にわたって異国で流通業の
お手伝いをしてきた私の実感です。
(2013.12.30号から)
お辞儀で思い出すのは、イタリア・セリエAの
インテル・ミラノで、レギュラーで活躍している
長友佑都選手のことです。
セリエAはヨーロッパサッカーの強豪揃いの
リーグです。
長友選手と同じく、日本代表の本田圭佑選手が、
セリエAの超名門チーム・ACミランにロシア
リーグのCSKA(チェスカ)モスクワから
移籍しました。
長友選手は、所属チーム内に「お辞儀」を浸透
させました。イタリアにお辞儀の習慣はありません。
イタリアでは、「日本人にサッカーができるわけ
がない」と考える人たちが、数多くいました。
そのようなイタリアで、長友選手は「世界一の
サイドバックになる」という高い目標を掲げ、
努力を続け、レギュラーポジションを獲得しました。
チームが得点したり、良いプレーをしたり、
勝利した時、長友選手はチームメートに「お辞儀」
をしました。それも、百貨店で行われているような
深いお辞儀でした。
お辞儀を繰り返しているうちに、チームメートが
面白がって、お辞儀を返す選手が出てきたのです。
これは、長友選手がチームメートに押しつけた
結果では、ありません。彼のいつも変わらぬ、真剣で、
チームに貢献しようとする行動や態度が評価された
結果だ、と思います。
イタリアと韓国では、国情が違うので一概には
言えませんが、秋山さんが語った「相手の歴史や文化、
生活、価値観などをきちんと理解しなければなりません」
という言葉は、とても重いと思います。
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