MECE(ミッシー)と機会損失 | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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MECE(ミッシー)と機会損失


ある本を読んでいましたら、興味深い話が
書いてありました。


以下がその内容です。


下着会社のトリンプは、店頭の販売員が

「売れた品物の情報」ではなくて、

お客さまの要望があったのに、

欠品していて売れなかった物
」を

収集して、情報として活用しています。

なぜなら、売れた物はPOS(販売

時点情報管理)データを見れば十分

ですが、それはお客さまが欲しかった

物のうち、たまたま売れた物がデータ

になっているだけですから、必要な

データの半分でしかないのです。

それにいかに気づくことができるかと

いうことが重要です。

  (『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』
  勝間和代 小学館101新書 PP.160-1)


POSレジを最初に導入したのは、ご存知のように、
セブン-イレブン・ジャパンです。


コンビニを日本に最初に導入したのは、セブン&
アイホールディングス会長の鈴木敏文さんです。
当時は、イトーヨーカドーの取締役でした。


鈴木さんは、POSレジで得られたデータの取り
扱い方は、
「売れ筋商品を見つけるためではなく、死に筋商品を
見つけ、他の商品と入れ替えることにある」
と本質を見抜いていました。


コンビニ業界は、廃棄の問題に悩まされています。
弁当や惣菜などは日持ちしないため、一定の時間が
過ぎると廃棄処分されるか、大幅値引きして販売されます。


そのため、仕入れの数量を減らす傾向にあります。
しかし、そうすると売り上げは縮小均衡となってしまい
ます。


それなら、いっそのこと「発注数量を増やせばいいだろう」
という意見が出てきそうですが、今度は廃棄処分する数量が
増大します。


典型的な二律背反(トレード・オフ)ですね。
「こちらが立てばあちらが立たず」です。


そこで、鈴木さんは、決断しました。


機会損失をなくせ!


失われた機会は取り戻せない、と気づいていたからです。
廃棄を恐れて、店内に商品があれば売れたかもしれないのに、
欠品していたために売れなかった機会損失のほうが
大きな問題だ、と捉え直したのです。


どういうことかと言いますと、POSシステムには、
大切なデータが漏れている、ということを言いたかった
のです。


商品が店頭にあれば、売れたのです!
売り上げ、利益に貢献できたのです!


それは、まさにトリンプが気づき、漏れてしまった
大切なデータを手作業で蓄積し、
機会損失をなくそうとしている」ことに、
ほかなりません。


機械的な処理では、「お客さまの要望があったのに、
欠品していて売れなかった物
」を数字で掴むことは
できません。


そうしたシステムになっていないからです。


機会損失」とはそういうことです。



ホテル業界では、
空室率
が重要な指標になっています。
10%以下(稼働率90%以上)であれば、かなり効率が
良いことになります。


空室率が30%以上の場合には、損益分岐点の観点
からも、厳しいと言わざるを得ません。


ホテルによっては、稼働率50%でも採算がとれる
ところもあるかもしれませんが。


仮にそうであっても、残りの50%は過剰投資になって
いるか、あるいは稼働率を上げるための営業努力が
足りないことになります。


今日の空室率が40%だったとします。
今日埋まらなかった部屋は、永久に取り返せないのです。
今日という日は二度とやってこないからです。


単純に、明日の稼働率を100%にすればよいというもの
ではありません。今まで満室になっていないのに、
いきなりできるはずがありません。

仮に、空室率が0%(満室)になっても、
失われた40%はカバーできないことがお分かり
いただけるでしょう。


今日の稼働率60%を明日140%(40%+100%)
にすることはできないのです。


部屋数が決まっているのに、40%増しにはできませんよね。


それなら部屋の価格をアップすればいい?
金額で埋めることは容易ではありません。


そもそも、おかしな話です。


使われなかった部屋のことを議論しているのに、他の部屋の
単価を上げて金額ベースで考えるのは、問題をすり替えて
いることになります。


以上の説明から、
機会損失
は極力少なくする必要があるのです。



POSシステムの話に戻りますが、機会損失のデータが、
抜け落ちていることがお分かりになったでしょう。


経営コンサルティング業界で世界一と言われる、
マッキンゼー・アンド・カンパニーが開発した、
MECE(ミッシー)という考え方があります。


Mutually Exclusive and Collectively Exchaustive の
頭文字をとって、MECEと言います。


もれなくダブりなし」という意味です。


これは集合論の一部を言葉で表現したものです。
Aというグループと、Bというグループの2つがあった
とします。


さらに、AとBのどちらのグループにも共通するCという
グループがあったとします。


つまり、Cというグループは重複(ダブリ)していること
になります。


ここまでの話は、お分かりになると思います。


もれなくダブりなし」の状態のグループ全体
を考えてみます。


重複した部分を除いた全体を掴むことです。


以下のようになります。


もれなくダブりなしの全体 = A + B -C


簡素なベン図を描いてみました。


ベン図(集合)


黄色のAと、赤のBが重なった部分がCです。






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