失敗を重ねて、道を開く
寺崎 志野(てらさき・しの)氏[東レACS相談役]
東レに入社して20年間、SE(システムエンジニア)として
アパレルCADの開発に専念しました。日米間のリアル
タイムの型紙データ伝送や、パソコンを使った廉価な
CADシステムの開発など、世界の競合他社に先駆けた
仕事に取り組み、技術者として新たな市場を作り出す
醍醐味を味わいました。
しかし、40歳手前で、新任の上司と意見が衝突。会社
を辞めようかと悩んだ末、営業への職種転換を願い
出ました。
自分が開発したものなのに売れず、営業の難しさを
痛感しました。技術職はいいものを作れば売れると
考えがちですが、課題を解決して顧客に感動を与え、
需要を作り出すのは営業職です。顧客が何を望んで
いるのか突き詰めて考え、少しずつ売れるように
なりました。
周囲を動かさないと解決できない大きな課題が
生じた時、どうしたら協力が得られるか。そうした
課題を乗り越えるたびに螺旋階段を上るように仕事
の力が上がります。諦めずに道を探すことが転機を
呼び込むのです。
(2013.9.30号から)
東レは、もともとは東洋レーヨンという会社で、
アパレルの繊維メーカーでした。
現在でも、ユニクロなどと組んで、アパレル用
生地を生産しています。
その一方で、東レは高機能繊維も生産しています。
例えば、最新航空機の機体に使われている、
カーボンファイバー(炭素繊維)は超軽量で、
鉄の何倍もの強度を持っています。
東レの技術力は、日本が誇る素晴らしいものです。
寺崎さんは、「就職してから常に『女性で初の』
という形容詞がつきまと」ったということです。
女性だということで差別を受けたことでしょう。
つい力みすぎて周囲の人たちがついてこないこと
もあった、と想像されます。
「一緒に仕事をしてもらう人たちの理解と支援を
得るための努力が最初はできませんでした」と
インタビューで吐露しています。
そうした失敗という経験を重ねても、
諦めずに道を探すことで、道を開いて
きたのだろうと思います。
信念は曲げず、やり方を変えることで、
人生を切り開いてきたのです。
見習いたいですね。
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