バックナンバー(47)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2010.11.29
(No.5)<198>
社員の力を新会社に糾合
松田 譲(まつだ・ゆずる)氏
[協和発酵キリン社長]
企業の中では、個人は小さな歯車に過ぎない。
1人では空回りするだけなんですよね。
(中略)
今のままでは、研究欲を満たすだけの会社になってしまう。
“自前主義”を捨て、補完関係のある相手と組む必要がある。
(中略)
何のために仕事をしているのかがはっきりしていれば、社員はついてくる。
でも普通、合併や統合ではそこをスキップしがち。
とにかく速くやることが大事だ、と。
でも、それでは社員はついてこない。
(中略)
企業は、社長の能力以上にはなれない。
私が能力を高めることが、会社全体の力を底上げすることだと思います。
(中略)
カットとか廃止とか、最近の世の中はダウンサイズのことばかりですね。
でも、明るいニュースがあるとテンションが上がる。
頑張れば、こんなふうになれると打ち出さないと。
じゃないと、若い人たちが元気に仕事をできないでしょう。
● 2010.11.22
(No.4)<197>
弱みを公開して強くなる
矢澤 正睦(やざわ・まさよし)氏
[コーセー人事部グループマネジャー]
一言で言えば管理職の360度評価だが、通常の360度評価と大きく違うのは、管理職が自分が受けた評価を自ら同じ立場の管理職たちに公表し、さらに自分を評価した部下たちにもそれに対する思いを述べて、次期の目標を宣言する点にある。
(中略)
連結売上高約1700億円の当社は、国内化粧品会社では3番手の位置にある。
とはいえ、上位2社との開きは大きい。
連結売上高が約6400億円に上る国内トップの資生堂は、中国をはじめ積極的に海外展開し、当社から見ればはるかに手の届かない所にいる。
2番手の花王・カネボウ化粧品は、ビューティーケア事業の売上高で5400億円規模を誇る。
こちらも、企業としてのスケールが違う。
縮み続ける国内化粧品市場で、売上高2000億円に満たない当社がこれら上位2社に追いつこうとしても難しい。
国内の序列では3位だが、上位2社を追いかけても、恐らくコーセーに将来はないだろう。
(中略)
近年、管理職は若返る傾向にある。
以前は50歳手前くらいの年齢で部長になったが、今では40代前半で部長になる者も増えてきた。
当社が世界で独特の存在感を持つ企業になるために、過去の成功体験を捨て、新しい時代に適応しチームを盛り立てられる優れた管理職を1人でも多く増やしたいと考えている。
● 2010.11.15
(No.3)<196>
成長幻想からの覚醒を
村上 智彦(むらかみ・ともひこ)氏
[夕張医療センター センター長]
何が気にかかるのか。
それは、経済は成長させなければならないということを前提においている点だ。
新聞やテレビなどで、経済学者やエコノミストと呼ばれる人たちの言説を読んだり聞いたりしても、総じてこの前提を崩してはいないようだ。
しかし私には疑問に思えてならない。
高度成長を経て成熟したこの国に、そもそも成長の余地が残っているのかと。
輸出主導にせよ、内需主導にせよ、経済成長を求める人々の姿が、私には「ないものねだりをしている子供」のように見えて仕方がない。
(中略)
そもそも生活水準が多少下がっても、今まで贅沢していた部分がなくなるだけ。
満足度が大きく低下することはない。
例えば日本の医療は世界保健機構(WHO)などから「世界一」と評価されており、ある程度レベルを下げても質の高い医療を提供できる。
にもかかわらず、医療に対する日本の国民の満足度は低い。
日本よりも医療レベルが低い英国などの満足度が高いのとは対照的だ。
これも、常に明日が今日よりも良くなることを前提とする日本人の成長志向の弊害だろう。
経済が縮小しても、生活水準が大幅に下がるわけではない。
ましてや幸福度が大きく損なわれはしない。
我々は手遅れにならないうちに「下り方」を考えるべきである。
● 2010.11.8
(No.2)<195>
変化する力で危機を突破
ケン・シュノールト(Kenneth I.Chenault)氏
[米アメリカン・エキスプレス会長兼CEO(最高経営責任者)]
柔軟にニーズに合わせて変わっていける組織作りに必要なのは、リーダーシップです。
そうした時にリーダーはまず、自分の言動に対する忠実さ、誠実さを示さなければいけません。
従業員はチームに対する信頼感がなければ、動けないからです。
それはただ正直であるという意味ではありません。
そうではなく、「言動が常に一貫している」ことを指すのです。
また、包容力のあるリーダーであることも重要です。
これだけ複雑な世の中です。
すべての課題を1人が掌握することはできません。
違った文化の、違った市場で、違ったものの見方、違った考え方をする人と出会い、受け入れていくことも重要です。
(中略)
リーダーは、限られた時間内で迅速に意思決定をしなければいけない時もあります。
必ずしも、すべての意見に耳を傾ける余裕はありません。
そういう時は、「こっちに行くと決めた」と明確に意思決定をしなければなりません。
その一方、できるだけ多くの人の意見を聞く必要がある場面もあります。
最高のリーダーとは多くのマネジメントスタイルを、環境に応じて使い分けられるリーダーだと思います。
● 2010.11.1
(No.1)<194>
経営者が陥る失言の罠
ディディエ・コシン教授(Didier Cossin)氏
[IMD ファイナンスとガバナンス教授]
良い判断とは根拠に基づき進むべき正しい道を決定する能力のことである。
それは、知識というハード的な要素と、直感というソフト的な要素から成り立っている。
まず、1つ目の要素である知識は、どのように習得されるのか。
前提として、知識は個人の努力だけではなく、組織的支援によって育まれるということを忘れてはならない。
それは、2008年に起きたサブプライムローン問題の例でも明らかだ。
当時、多くの経営者は、銀行が投資しているサブプライムローン商品の実態を理解していなかった。
問題に気づいていたのは専門家だけで、正しい情報が経営者に報告されていなかったのである。
(中略)
知識に加え、正しい判断を支えるもう1つの要素が直感だ。
それは、知識よりもソフトな側面を持ち、個人に深く根ざしたものである。
直感は感情に依存しており、ほぼ間違いなく、それ自体が感情の大部分を形成している。
実際、もし、物事を意識させる生理的な高ぶりが感情であると考えれば、直感は極めて感情的なものと言える。
直感とは何かを考える時、いわゆる虫の知らせや第六感、不安や疑念のような身体的感情を引き合いに出す人も多い。
トップレベルで意思決定を下す人は、その際、脳における知識の処理だけでなく、むしろ基本的な生理的反応である直感にも頼っている。
しかし、知識だけでは世界の複雑性に対処するのに不十分であるのと同じように、直感だけでも判断を誤る。
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