バックナンバー(36)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2009.12.21・28
(No.3)<151>
シェル流「脚本経営」の威力
角和 昌浩(かくわ・まさひろ)氏[昭和シェル石油 チーフエコノミスト]
シェルは未来を予測できないと見ているから、長期計画などは作らない。
計画を立てても、本来の事業環境は絶えず変化するので、計画の達成は確実ではない。
そのため、計画を作ることに意味がないと考えているのだ。
その代わり、未来について複数のシナリオを定期的に作成し、それぞれのシナリオに沿った戦略を立てる。
これが、シナリオプランニングである。
最大の特徴は、複数のシナリオを作成する点だ。
それも、それぞれのシナリオが現実のものとなる可能性は同じで変わらないと見る。
複数のシナリオのどれかが、他のシナリオよりも起きる確率が高いと見れば、どうしても1つのシナリオに拘泥してしまう。
その結果、現実がそのシナリオと懸け離れ始めても、そのことを見落とし、重要な経営判断を誤る危険性が出てくる。
こうした事態を防ぐために、複数のシナリオを同時に扱う。
これが、シェルの英ロンドン本社に出向して実際にシナリオの作成に携わった私が、実践の中で学んだシナリオプランニングの要諦である。
複数のシナリオのどれも遜色のないストーリーに仕立て、それぞれについて読者に深く考えさせる。
ここがシナリオプランナーの腕の見せどころだ。
● 2009.12.14
(No.2)<150>
平時にトップはいらない
玉山 和夫(たまやま・かずお)氏[札幌学院大学経営学部教授]
80年代後半に高騰した日本の株式市場は、90年に入って暴落する。
バブルの崩壊である。
私はその数カ月前に予兆をつかみ、日本株を売り抜けた。
この時、私がモニターしていたのが、マガジンハウスの女性誌「Hanako」だった。
市場がピークに達して下げに転じるのは、通常は市場の取引に参加しない人たちまで買いに来た時だ。
現在の経済危機の引き金となった米国の住宅バブルの背景にも、サブプライムローンが広がり、本来は住宅ローンを組めない人まで住宅を購入したことがあった。
それは同時に、バブル崩壊のシグナルでもあった。
このような最後の買い手に相当する一般の若い女性が株を購入し始めたら、日本の株式市場は早晩、ピークを迎えるに違いない。
そう予想して、若い女性が主要な読者であるHanakoに着目したわけだ。
同誌に株のコーナーができたのは、89年の秋頃だったと思う。
それで売りに転じ、バブル崩壊で損を出すのを免れた。
この時、私のようにHanakoに株コーナーができたことをバブル崩壊の予兆と受け止めた人は、株式投資のプロでも少なかったはずだ。
むしろ証券会社では、「若い女性まで株を購入するようになって、株式投資が一般化した。これは時代の流れだ」という見方が多数派だっただろう。
センスが問われるとは、こういうことだ。
● 2009.12.07
(No.1)<149>
団塊と若年、富の偏在正せ
林野 宏(りんの・ひろし)氏[クレディセゾン社長]
貸金業法ができた当時、大手の消費者金融の平均貸出金利は22.4%ぐらいでした。
その内訳をざっくりと分解すると、7%は償却用ですから15.4%残りますね。
そのうちの10%が営業経費ですから、約5%の利益が出る。
一方貸出金利が18%になると4.4%分減ります。
結果、利益は金利の0.6%分しか残らない。
そこに過払い請求への対応をしたら、資金繰りが苦しくなっても仕方がない。
ですから現在は、当たり前のことが起こっているだけです。
例えば40%の利息を取れるなら、貸す方もリスクが取れ、貸し出し基準を緩くできる。
厳格な審査をすることなくどんどん貸す。
ところが金利が低ければ審査を厳しくせざるを得ない。
今みたいな金利状態だったら、15%程度で借りられる信用力のある人しか貸せないかもしれません。
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