揚力発生のメカニズム・1 翼周りの循環理論には無理がある | 長谷川隆のブログ 

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 別途ホームページに揚力発生に関する私見を整理して載せていますが、このブログでも要点を説明していきます。

 

 まず、揚力発生のメカニズムの従来説を見てみます。

 Webや書籍で解説される翼の揚力発生のメカニズムは、

 ・「循環とベルヌーイの定理説」

 ・「コアンダ効果と作用反作用説」

 の二つに集約されます。(名前は種々ある)

 

 まず、長年席巻してきた「循環とベルヌーイの定理説」の中の「循環理論」、なぜ循環が発生し、持続するのか?について。

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<循環理論>

1)飛行機が滑走を始めると翼の後ろに「出発渦」が発生する。

 

2)するとそれを打ち消すような反対回りの翼全体を包む「循環」の流れが発生する。

 

3)翼周りを通り過ぎる空気の流れと、「循環」の流れを合計した流れは、翼の上面が速く、下面は遅くなり、ベルヌーイの定理により上面の気圧が下面の気圧より低くなる。

 

4)「循環」は翼端の回り込みから発生する翼端渦を通して飛行場に置いてきた出発渦と概念的につながっているので、出発渦はやがて消滅するが、飛行機が飛んでいる間「循環」の流れは持続する。

 

 

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 と言うものです。

 

 飛行機が動き始めると、翼と地面に挟まれた空気が、翼が通り過ぎると、後端からめくれ上がってくるようなイメージはできます。それを出発渦と呼んでいるようです。

 

 しかし、以下の疑問が残るのです。

 

① 小さな「出発渦」が、反対回りの翼全体を包む大きな「循環」に発達するメカニズムはどうなっているのか?

 そのエネルギーはどこから来るのか?

 

② 飛んでいる間の「循環」を持続させるメカニズムはどうなっているのか?

 そのエネルギーはどこから来るのか?

 

③ 飛行速度と循環の速度の関係はどうなっているのか?

 例えば時速900キロで飛ぶ飛行機の翼の上面と下面で、流速がそれぞれ時速何キロになっているのか?

 

 これらの疑問を持ってWebや本を読み漁っても、定量的な説明は一切見当たらないのです。

 何百トンもの機体を持ち上げるだけの揚力が発生する循環が存在するのだ、と神のお告げの様に言われてもねぇ。もっと科学的な説明が欲しいところです。

 

<私見>

 この理論によれば、「出発渦」とやらが発生しない場合、例えば宇宙から大気圏に再突入したスペースシャトルや手投げの模型飛行機などは、「出発渦」とやらの発生はないので「循環」とやらも存在しないから飛ぶことが出来ないことになるのだが、、。

 

 私はどうしても「循環」なるものの発生根拠が見えないので納得できず、このような翼周りを一方向にぐるりと回る「循環」などは存在しないと考えるのです。

 

2024年1月11日追記

*私の私見はこのブログとホームページにて、実験結果の解析の都度ポイントをアップロードしてきましたが、この度それらを整理して出版することが出来ました。

是非ご高覧いただきたく、よろしくお願いいたします。

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