JAXA 調布航空宇宙センター | 長谷川隆のブログ 

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 Hase Aerodynamics Labo

・飛行機はなぜ飛べる?100年以上続いた説を実験しながら検証する!
・観光旅行ではとても知ることができない中国での体験を紹介。
・70数年生きてきた中での珍しい体験や死に損なった体験など。

 4月22日(日)、JAXA 調布航空宇宙センターの一般公開に行って来ました。

 途中、子供連れのママさんが多いなぁ、と思いましたが、実は子供達のために一般公開されていたのでした。

 来訪者の半分以上が小・中学生と見えました。

 手にする資料は全て仮名振り、小学3・4年生なら全て読むことができそうです。

 

 本格的な操縦シミュレータ体験は3時間待ちの大人気。

 

 短距離離着陸(STOL)実験機「飛鳥」のモデル。

 エンジン排気流を翼上面に沿って流し、コアンダ効果に利用して高揚力を得ようというものです。

 

 未来の航空宇宙開発の担い手となるべき子供たちに、難しい科学技術を実物や模型で学ぶ機会を提供することは実に素晴らしいことです。

 特に、風洞や空気の流れの可視化装置など、いろいろな実験設備を見ては、子供達の夢は計り知れなく膨らんだにちがいありません。

 何よりも、お子さん連れの教育熱心なママさんに敬服し、子供達がとても羨ましく思えました。

 

 小学1年、東北の奥深い山村にたまたま飛んできた、たった一機の戦闘機を見たとき、飛行機への漠とした憧れの恋心が宿った、そんな私とは大違いです。

 

 第1、第2会場、どちらも大盛況でした。子供達には忘れられない素晴らしい1日になったに違いありません。

 

 

 さて、私の興味はただ一点、JAXAとして翼の揚力をどう解説しているか?ということでした。

 揚力を解説するパンフレットがありました。

 

 スプーンの絵でコアンダ効果の説明と、前から来た空気を翼で下にうごかすことで飛行機は飛んでいます。と解説しています。

 

 うん、これはアメリカのデイヴィッド・アンダーソン博士とスコット・エバーハート博士が2000年に唱えた「コアンダ効果と作用反作用説」ですね。

 子供に説明するのだから提唱者や効果発見者の名前がないのはOK。

 

 と思ったら、すぐ下に

 「空気が速く流れることで、上側は下側に比べて、空気がうすくなります(圧力が小さい)。逆に、下側は上側にくらべて、空気がこくなります(圧力が大きい)。すると、圧力の大きい方から小さい方へ力がはたらき、翼は上へ持ち上げられます」、との解説文が続きます。

 

 これでは、両博士がきっぱりと否定した「ベルヌーイの定理説」が併記され、相入れない二説を並べた解説になってしまっているのでした。

 

 「揚力は空気を下方に曲げた反作用で得るのか?」

 それとも、

 「揚力は空気の流れで発生する翼の上下面の気圧の差で得るのか?」

 

 これでは揚力発生の仕組みが余計にわからなくなってしまいますね。

 

 んー、残念!! しかし、想定内!

 

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