今日は大雨、予定していた外出も出来ず!
こんな日は野球中継後は久々に難解な邦画でも・・・。
🔸🔸🔸🔸🔸今週は映画WEEK第5弾🔸🔸🔸🔸🔸
東宝創立50周年記念映画
幻の湖
1982年/上映時間2時間44分
製作:橋本プロダクション
配給:東宝株式会社
スタッフ
製作:佐藤 正之、大山 勝美、野村 芳太郎、橋本 忍
原作・脚本・監督:橋本 忍
音楽監督:芥川 也寸志
題字:益川 進
ランニング指導:宇佐美 彰朗
キャスト
尾坂 道子/ソープ嬢お市:南條 玲子
長尾 正信・吉康(二役):隆 大介
みつ:星野 知子
日夏 圭介:光田 昌弘
日夏音楽事務所の受付 :荒木由美子
倉田 修:長谷川 初範
淀君:かたせ 梨乃
ローザ:デビ・カムダ
道子の客:奥野匡
矢崎:室田 日出男
関口:谷 幹一
大西:北村 和夫
弁護士:仲谷 昇
平山:下條 アトム
長尾 吉兼:宮口 精二
藤掛 三河:大滝 秀治
お市の方:関根 恵子
お市の方の侍女:中村れい子
織田 信長:北大路 欣也
怒りを追い、愛と涙を追い、
道子は走る、ただ走る
ストーリー
雄琴のソープランド街で「お市」の源氏名で働くソープ嬢道子(南條 玲子)。琵琶湖の美しい湖畔を愛犬シロを追って走る習慣もいつの間にか1年以上が過ぎていた。仕事に疲れ、失意の底にいた道子だったがある日、みすぼらしい野良犬のシロと出会う。この出会いには何か運命的なものを感じた。そんな中、銀行員の倉田(長谷川 初範)からジョギングシューズのプレゼントがあり、トレーニングプランを立てて本格的に走り始めた。
今ではシロを追い、走り続けることが唯一の生きがいにさえなっていた。
冬は琵琶湖菅浦の雪道を、春には梅津大崎の桜吹雪の道を、そして夏は蝉時雨の葛籠尾崎を走った。
ある日、狂おしい笛の音に誘(いざ)なわれ、笛を吹く男と出逢った。道子は体全体が火のように熱くなるのを感じた。
秋雨の降る十月のある日、シロが何者かによって殺害された。
湖の砂浜で雨に濡れ冷たくなったシロを抱きしめ、半狂乱になる道子であった。
凶器の包丁と様々な証言をもとに犯人が東京の作曲家日夏(光田 昌弘)という男だと探りあてたものの警察では犬の殺害自体を事件として取りあってもらえず、道子は独力で犯人探しを決心する。
上京した道子はかつての同僚で道子の店にソープ嬢として潜入していた米国の諜報員ローザ(デビ・カムダ)の尽力で、日夏の住所とジョギングが趣味であることを知った道子は、得意のマラソンで日夏を「倒れるまで走らせてやる」と決意する。
一旦、琵琶湖に戻った道子はシロの骨を埋め、親しい人たちとも密かに別れて告げて再び上京した。
軽快にランニングする日夏を道子は追いかけた。背中にシロの命を奪った出刃包丁を忍ばせたリュックを背負っていた。
東京では彼のペースに追いつかず、走り負けてしまう。
水と樹木と空のない東京では、いつもの琵琶湖の湖畔を走るようにはいかなかった。
倉田が別の支店に転勤することになり、お別れのデートをするために琵琶湖の東側、湖東をドライブした。最後に訪れた長命寺で結婚の約束を交わしたのだった。
それから数日後、シロの墓参りにやってきた葛籠尾崎で道子は笛を吹く男、長尾(隆 大介)と再会した。なぜか激しく心が乱れるのだった。
長尾は笛の由来と先祖の事を語り始めた。
戦国時代、小谷城のお市の方(関根 恵子)に仕える侍女にみつ(星野 知子)という娘がいた。同じ領内の侍、長尾吉康(隆 大介)と異常なまでに心が惹かれていた。
そんな折り、織田信長(北大路 欣也)が浅井攻めが始まって、二人は結ばれず、さらに信長に反抗したみつは葛籠尾崎の先端で逆さ吊りの刑に処されてしまう。死んでいったみつのために湖上で吉康は心を込めて笛を吹いたのだが、その音色はみつの怨念でも乗り移ったかのように悲しみを漂わせていた。
話を終えた長尾は、自分は吉康の子孫で、ここで笛を吹けば誰かと巡り会えるという伝説を祖父から聞いたと言った。
そして近くアメリカに帰るので、自分と結婚して一緒に行ってくれと頼む。
道子は彼の話に激しく心を揺さぶられながらも
「私はあなたの話のみつではない、それに私は自分の運命に従うしかない」と言って断った。
倉田との結婚のため、道子が仕事を辞める二日前、彼女の前に日夏が現れた。
道子は夢中で出刃包丁を握りしめ、逃げる日夏に追い縋った。
琵琶湖大橋でとうとう日夏の足を止める事が出来た。
「勝ったわよ、シロ!」
快哉を叫んで道子は包丁を日夏に突き刺すのだった。
この瞬間、遥か琵琶湖上空185キロにいた長尾は、琵琶湖の水が枯れ果てて「幻の湖」になる遠い未来までも、つるの怨念を鎮めるために吹かれるはずの笛の音が静止した。
難解な内容の上、上映時間も長いため観客動員が伸びず、早々に公開が短期間で打ち切られた。今思えば凄いキャスト陣ですが、興行収入は1億円にも届かなかったようです。
パンフレット
(※写真はパンフレット類から引用)