わざわざコップに移す

夜、突然オレンジジュースが飲みたくなった。

時間はまだ20時。
どうしようかなーと、30分くらい思いあぐねて、

スーパーまで自転車を走らせる。

スーパーには、いろんな種類のジュースがある。

500mlは多いので、300mlくらいの、
ストローがついてるサイズの紙パックを探す。

【3本で250円】
と書いてあったら、3本買う。

こういうのに、弱い。

オレンジジュースと、
ぶどうジュース、
期間限定の甘夏のジュース。

おうちに帰って、早速飲もうとカバンから取り出した。

その時、ふと、思った。

"紙パックのまま、ストローで飲むと、
すごい勢いで一気飲みするんだよなー。

あれ、なんでなんやろ。

あとね、飲み終わった後に、
めっちゃストローでちゅーちゅー吸うの。

一滴たりとも残さへんで、って勢いで。"

その時の気持ちは、
満足したような、
なんだか虚しいような、
目的を達成したのに、満たされない感じ。

今日のオレンジジュースは、
わざわざ買いに行ったから、豊かに飲みたい。

そう思って、コップを出す。

紙パックにハサミを入れて、
トクトクと注ぐ。

意外と量が入ってて、
コップ2杯分くらいある。

そして、椅子に座って、
ジュースを飲む。

うん。美味しい。

たったこれだけのことなんだけれど、
心に与える影響は全然違うなと思った。

美味しいし、気持ちがゆったりする。

わざわざ器に移すのって、
洗い物が増えて面倒と思っていたけれど、

たかしにとっては、
心の余裕がないサインだったことが、わかった。

舌を満たすだけではなくて、
心を満たす、自分が笑顔になれる方法を
ひとつ、見つけられました。

cp27-11