出来ると信じて、出来る限りの準備をして、待つ

あの頃は、待つことしかできなかった。

本当は、10代の頃に叶えたい夢があった。
本当は、大学で学びたいことがあった。

両親は、応援しようとしてくれた。
いつでも、待っていてくれた。

けれど、たかしはそこで素直に言えなかった。

その応援を素直に受け止めて、頑張る自信がなかった。

自分で、自分を信じることができなかった。

自分が見える世界が怖くて、
自分の未来が真っ暗な気がして、

両親が頑張って働いたお金を出してもらうことが、
とても申し訳なく思っていた。

お金を借りて、返すだけの、
自信も持てなかった。

周りの期待に応えたいけど、
それに応えられない自分。

やってみなければ分からないけれど、
でも、"絶対に期待には応えられない"

という根拠のない自信だけはあってね。

向き合おうとしてくれた両親と、
向かい合えなかった。

自分の情熱を、信じられなかった。

それでも、何かのきっかけで、
誰かが、自分を救ってくれるような、
甘い期待もしていた。

でもね。

口に出さなければ、
言葉にしなければ、

どんなにお腹が空いていても、
どんなに行きたいところがあっても、

周りの人からは、
"日常を過ごしている人"にしか見えないし、

助けて欲しそうな雰囲気を出していても、
周りは、何をしたらいいのかわからない。

だから、助けたくても、助けられないんだよね。

10代の頃に、それを知りたかったけれど、
あの時言えなかったことは、後悔はしていない。

なぜなら、その痛みを感じてきたことで、
その大切さを、文字の通り痛感したから。

けれど、周りの人が同じ悩みを持っていたとしたら、

たかしは伝えたい。

「あなたは、あなたが思っている以上に、

応援されているし、
あなたには、本当に限りない未来が待っているから、

思い切って、口に出してみて欲しい。」

「何を言っても大丈夫。

うまく言えなくても大丈夫。

受け止めてくれる人は、そばにいる。」

と。

cp26-11