東京電力福島第1原発の事故を受け、米国内で「反日感情」が高まりつつある。東日本大震災直後は
同情も多かったが、菅直人政権の原発危機への対応のひどさに、ヒラリー国務長官までが「日本は信用
できない」と激怒。米メディアが「今週末にも、太平洋を超えて放射性物質が到達する」と報じたこと
もあり、西海岸はパニック状態になりつつある。 「日本の指導者の欠陥が危機感を深める」
 ニューヨーク・タイムズ紙は16日、こんな強烈な見出しで、菅首相が臨機応変の対応力や官僚機構と
円滑な協力関係に欠けるため、国家的危機への対処を大幅に弱くしている、と指摘した。
 今週に入り、米政府やメディアは総じて日本に厳しい。悲惨な大震災への同情はどこかに吹き飛んで
しまった。 米国在住のジャーナリストは「ホワイトハウスや議会で連日、日本の原発危機に関する会議や公聴会が
開かれているが、『日本政府や東電は情報を隠蔽している』『混乱して無政府状態』といった反応ばかり。
かなり緊迫している。これを放置すると、反日感情がさらに高まる」と警告する。
 事故発生直後、米政府は原子炉冷却に関する技術的支援を申し入れた。ところが、原子炉の廃炉を前提
とした提案だったため、日本政府は「時期尚早だ」と受け入れなかったという。
 その後も、米政府は外交ルートを通じて、「第1原発は大丈夫なのか?」「本当のことを教えてくれ」
と打診したが、日本外務省は首相官邸の指示もあり、「適時適切に対応している」とお役所答弁。ところが、
第1原発の危機は日に日に深刻化し、水素爆発や放射性物質漏れが発覚した。 このためか、ヒラリー国務長官は「日本の情報が混乱していて信用できない」「米国独自の調査で
判断する」とテレビのインタビューで強い不快感を強調。在日米大使館は第1原発の半径80キロ以内に
住む米国民に避難勧告し、東京の米大使館などに勤務する職員の家族約600人に、自主的な国外退避や
日本国内の安全な地域への避難を認めると発表した。  米メディアも17日朝から「金曜日にも太平洋を超えて米国に放射性物質が到達するから危険」と派手
に報じ、欧州やアジアのメディアも「天災が人災に発展」「事実を隠蔽した」などと報道。