「沖縄すか?」




俺は意外な場所に驚いた。



「娘の名前は聖名子(仮名)だ。 沖縄のキャバクラで働いてるという情報が入ってる。 娘を沖縄に連れ去ったのは 紛れもない君と同じ格闘家なんだよ。」





「えっ?格闘家ですか? 誰ですか?」





「名前はケンジ(仮名)としか聞いてない。 地下格闘技で戦ってたヤツらしいんだ。」




「地下格闘技…」



素人や格闘技を“かじっている”ヤツがやっているような大会はこっちにも沢山ある。




「そもそもなんで娘さんは連れて行かれたんですか?」


俺が聞くと戸澤はため息をついた。



「… いやな 俺の後輩がやってる地下格闘技のイベントに娘を連れて行ったんだ。 そこで試合をしていたその男を娘がえらく気に入ってな‥ ただ…」




「ただ なんですか?」





「その男を調べたらとんでもないヤツだったんだ。 未成年に売春を斡旋したり家出少女を沖縄に連れて行ってキャバクラや売春させたりしてたるらしいんだ。」



ニュースでやってたな… 俺はそう思いながら聞いていた。


「うーん でもなんで…俺なんすか? 手下なんていっぱいいるじゃないですか…」

俺は素直に聞いてみた。




「‥それを言われるとあれなんだけどな‥ 実は俺が脱税でパクられるかもしれねえんだ。 今こっちはホントに大忙しでよ… しかも娘は格闘家が大好きなんだよ。 格闘家と結婚するなんて言い出してな‥ そのガキは元ホストで口がうまいと思うんだよ。 だからそのガキにそそのかされて 家から金まで持ちだしてよ‥ 」



と 戸澤が頭を抱えた。



「なるほど‥ 戸澤さんは娘さんに嫌われてるんですね?」
俺は勘が働いた。




「よく分かるな。格闘技をだしに少しはあれしようと思ったんだが全て悪い方向に行っちまったんだよ。 俺がこんな仕事してるからな。 家内も俺の女遊びで参って家飛び出しちまったんだよ。 それが決め手でもう娘は俺の言うことなんざ聞きやしねえ‥」



よくある話だが戸澤の弱々しい顔を見ると相当参ってる感じだ。



「分かりました。沖縄行きますよ。」




と言った時、戸澤の息子である格闘家の〇〇さんが現れたのだった。




「あっ〇〇さん‥
久しぶりです。」














続く。