目つきの鋭い男が取り出したのは…



シンプルなデザインの携帯だった。










割腹のいい警察官が



「いや そっちのじゃなくてもう片方…」







と言ったのを遮るように








男は携帯で誰かと話始めた。









「……はい そうです。 宜しくお願いします。」








目つきの鋭い男が誰かを呼んだように聞こえた。








「お巡りさん、今から自分の上がすぐ来るから ちょっと待ってくんないかな?」









「呼んだのか?」








中肉中背の男が言った。










「ああ すぐ来る。」








目つきの鋭い男の手の震えは止まっていた。








「いや お兄さん 誰が来るか知らないけど ちょっとポケットの中身いいかな?」







警察官達が 目つきの鋭い男と中肉中背の男を囲んだ。









「お巡りさん、もう少し待ちなよ。 待てばわかるからさ。 それにポケットの中身見てどうすんの?」








目つきの鋭い男は時間を稼いでるようにしか見えない。








「そうだよお巡りさん。 俺のポケットにも何にも入ってないから。」










中肉中背の男も時間稼ぎに協力している。









すると一番若い警察官が


「いや そんな事いいからポケットの中早く見せてよ!」


と威勢よく言った。







すると目つきの鋭い男が 若い警察官を睨みつけ








「… こらガキ… 待てばわかるって言ってるだろが!? お前喧嘩売ってんのか!?」








目つきの鋭い男は半ば逆ギレを起こした。






そしてついには若い警察官の前に行き 顔を睨みつけた。










「こらこら ちょっと待ちなさい!」








割腹の良い警察官が間に割って入った。









その時だった。














「おい!お前ら!!」









ガヤガヤした通りに それはそれは野太い声が響いた。











向こうから男達がやってくる。









“その”声の持ち主は一目でわかるほどの異彩を放っていた。








両脇に若い“護衛”を付けた男は イタリアンマフィアのような格好をし、年齢は50前ぐらいに見えた。










そして警察官達、全員が一斉に“その”男に注目した。










そして1人の警察官の右手が銃器に軽く置かれた。











俺は 嫌な予感がした。











マフィアのような男は警察官達に一歩一歩近づいてきた。











不敵な笑みを浮かべながら。
























続く。