目つきの鋭い男がポケットに手を突っ込んだ。










「刃物か? 出される前に殴り飛ばしてダッシュ? それとも…」










俺はとっさに考えた。








俺は一歩後ろに下がった。













と その時…











「ちょっと ちょっとお兄さん達 何やってるの!?」








横から入ってきたのは中年の警察官2人だった。








目つきの鋭い男はポケットからサッと手を引いた。








「いやあ おまわりさん! 何もないですよ! ちょっとした口喧嘩ですから!」







中肉中背の男が割り込んできた。








「いやいや どうみても 口喧嘩だけじゃ終わりそうもなかったじゃない?」







警察官が言った。








俺は面倒くさいので男達に合わせる事にした。








「おまわりさん 本当に何もないんですよ。 大丈夫ですから。」











すると警察官が








「いや なんか喧嘩してるって通報があったんだよね。」








と言ってなかなか食い下がらない。








「いやあ そんな事言われてもねえ?」








目つきの鋭い男が言った。







俺もさらに








「いやホントなんもないんで帰りますよ」






と警察官に言うと、恰幅のいい警察官が 目つきの鋭い男に近づき、男の上半身を じろりと見た。









「お兄さんさあ さっきポケットから何か出そうとしてたよね? ちょっと見せてくれる?」









なるほど、この警察官達が食い下がらないのは “あれ”をちゃんと見ていたんだな…と思った。








目つきの鋭い男は一瞬 言葉を詰まらせた。








「っ… 何もないですよ。 タバコですよタバコ。」











恰幅のいい警察官は完全に男の嘘を見抜いてる顔だった。








「ん? タバコ? タバコなら見せれるよね?」








と言った同時に さらに4人の警察官が俺達を囲んだ。








もう一人が応援を呼んだらしい。









目つきの鋭い男は 横目でそれを確認した。



そして…












「わかりましたよ… 見せりゃいんだろ?見せりゃ!」









「うん うん 出してくれる?」










完全にターゲットは目つきの鋭い男になっている。








俺は男の手が小刻みに震えているのを見逃さなかった。








男はその手をポケットに入れた。








そして 数秒後……


















男は思いがけない行動にでたのだった。


















続く。