目を開けると、そこは病院の一室だった。
「…… ん… いてっ……」
足に包帯が巻いてある。
「やっぱり夢じゃねぇか…」
痛みは現実を恐ろしいほどに伝達し始めた。
時計は夜の3時を指している。
どうやら部屋に他の患者はいないようだ。
「俺は 生き返った??…
拓郎に胸を撃たれたはず…
もしかして!!
アキラやヒロも!? 生き返ったのか? 」
俺は胸が高鳴った。
親友の死は心を深く深くえぐった。
「確かめなきゃ…
母ちゃんに電…」
!?
窓が開き 風が入り込んできた。
ヒュウウウ…
風とともに物凄いスピードで黒い“何か”が入ってきた。
「…その必要はない。
2人は死んだ…
犠牲となったのだ…
お前のこれからの戦いのために… 」
「あんた…
なんでアキラとヒロを生き返らせてくれねえんだよ!!」
ドカァンッ!!
俺は近くにあった机を蹴飛ばした。
「 言ったはずだ。
また同じ事を言わせるのか??
お前のこれからの人生は戦い……血で血を洗う凄まじき闇の渦中だ。 」
「またワケのわからねえ事言いやがって!!
アキラとヒロを生き返らせろ!!」
「フッ…… 聞かぬ小僧だ… 」
と“人ならざる者”は手を窓に向けた。
すると雨が降り出し、その雨はやがて大雨となった。
「なんだ?? 雨を降らしたのか?? 何をするつもりだよ!」
ゴロゴロ……
雷も鳴り始めた。
「屋上へ行け…
お前には 3つの力が与えられる。
1つは 不死…
2つめは 人間に罪を犯させる背後にいる闇を見る眼力…
3つめは 想像力…
想像したものを手にし 闇を砕け…… 」
「屋上!? ったく人使いの荒いジジイだな!! 」
足の痛みを我慢し、ベッドを飛び出した。
当直の看護師が気づかないぐらいのスピードで廊下を走る。
アキラの死…
ヒロの死…
俺の悲しみよりもアキラとヒロの味わった悲しみが胸を深くえぐりつけた。
「なんで おれだけ生きてんだ!!
なんで 殺してくれなかった!!」
階段を駆け上りながら涙が溢れでる。
涙で前が見えないはずなのに俺は吸い込まれるように屋上へと向かって行った。
ガチャンッ!!!
屋上に出るドアを開け 土砂降りの雨の中に出る。
ゴロゴロ…
ドカアアンッ!!
雷鳴が耳を切り裂く。
屋上の真ん中あたりに跪き、俺は 大雨の振る空に向かい 叫んだ。
大量の涙と共に……
「ぐわあああっ!!! 」
慟哭が絶頂に達した時
俺は 雷に打たれた。
ドカアアンッ!!!
俺の視界から
全てが
消えた。
続く。