「アキラ!!」





俺はアキラの体を揺さぶった。






「……るせえな 聞こえてるよ…

死ぬんだな 俺…」




アキラの腹部からは大量の血が流れ出ている。





「ちょっと待てって! 今救急車呼ぶから!!」






「いや… もういいよ… 俺は死んでも構わないよ…

でもよ… 本当の親に会いたかったよ…

俺はよ 本当は会いたかったんだよ…」

アキラの頬を涙がつたう。






「わかったから!今 救急車呼ぶから!! 喋んないでいいよ!」
俺が携帯を取り出そうとした時…


アキラが俺の腕を掴んだ。





「…ヒロは?」






俺は首を横に振った。






「そうか…… 俺もヒロんとこ行くわ…
大樹… 拓郎の野郎 …絶対に殺してな……
ありがとう 大樹…」





アキラの体から弱い力が抜けた。



アキラは死んだ。








「ううっ…… アキラ ごめんな……」

俺は1日で2人の親友を無くした。
なんという虚無感か。
体から全ての力が抜けるようだった。




その時…!!






バタンッ!!!





隣の部屋らしきドアが勢いよく開いた。





「よう、ご苦労さん!!」
と、手を叩きながら出てきたのは拓郎だった。


そしてその後ろには“手下”と ユミが…





「………」



俺は何も言わず刀を握りしめ、拓郎に向かった。








パンッ!!!







「グオオッ!!!」

拓郎はピストルで俺の足を撃った。







「いやあ 大樹くん、見事な戦いぶりだったよ!

俺の代わりに邪魔者を殺ってくれて!! いやあ お見事お見事!!」






「??邪魔者??

何の事だよ…」







拓郎はニヤニヤと笑っている。






「ぐっ……いてえ… 何の事だって聞いてんだよっ!!!」






俺は足を斬られた痛みと撃たれた痛みで気が狂いそうだった。







「俺はな自分んとこのオヤジが邪魔だったんだよ。
だが俺が殺すのはこの世界じゃご法度ん中のご法度だ。
そこでお前らが見事にハマったってワケだ!
まあ ここまで行くとは思わなかったけどな。 ハッハッハ!!
いやあ しかし 派手にやったなぁ……

大したもんだ!!」





俺達をハメた??


また??




枯れた声の“人ならざる者”の警告…





「待っているのは絶望。」






親友2人を無くし、俺は一体何をもがいていたのか……





壁に“貼り付けられた”俺が殺した組長を見て自分でも思った。





血に染まった部屋で絶望感が俺を襲う。






「ご苦労さまなこったが、お前は全てを知っている… まずいな~」

拓郎が言った。






拓郎がゆっくりと俺に銃を向けた。







「これは…無駄な殺生じゃあない…

悪いな。死んでくれ。」








パァンッ!!!









「!!!!!」







8月の暑い暑い夏の日…








俺は






死んだ。









続く。