刀に血が流れているかのようだ。




“皆殺し”の決意はまず2人の若いヤクザの命を奪った。





階段を上ると廊下が広がる。





ドアの向こうから話し声が聞こえる。






「シッ… 音をたてるなよ…
ドアを開けたら多分拓郎と組長がいる。
いや他にも…」

俺はドアの中の気配でそう感じとった。




「どうする?
ドアを開けて 闇雲にぶった斬るか?」
アキラが小声で言う。





「先輩! ドアをノックして まず出てきたヤツを殺りましょう! それから中に入って皆殺しにすれば…」

ヒロが言った。




「よし、 ドアをノックしよう。

隠れて出てきたヤツが当たりを見回したらすぐに殺して、中に突入だ。 」 俺の提案に2人も頷いた。





「OK… 入ったら 無心で斬れ…
もしかしたら拳銃を持ってるかもしれない。
とにかく無傷で帰るんだ。 いいな?」









ついに拓郎を殺す時が来た。






白い内装のこの場所に“鮮血の復讐劇”の赤い主人公3人が息を殺している。






耳障りなざわつきは頂点に達した。





「ザワザワ…ザワザワ……」





「くっ…… 」







「どうした大樹?」





「いや、なんでもない…行くぞ!ヒロ!」






ヒロが頷き、ドアを強くノックした。






「ドンドン!」







ドアの向こうから低い声で

「アア?どちらさん!?」

と聞こえた。





俺達は息を殺して出てくるのを待つ。





「ガチャン!」






ドアが開いた。





ドアのすぐ横に隠れた。出てきたのは30ぐらいの髭をたくわえたヤクザだった。





「ん? 誰もいねえじゃねっ… かっ!!」





「バチュンッ!!」




アキラが首を切り落とした。





「ブッシャーッ!!」




切り落とされた首から血が噴き出す。





「ドスン!!」






胴体が鈍い音と共に下に倒れた。






「行くぞっ!」







俺達はドアの中に入った。






「誰だてめえらっ!!」

若いヤクザが叫んだ。





「!?拓郎がいない!」






いるのは若いヤクザ2人と組長だけだった。





「なんだこらあっ!!」


組長が奥に飾ってある刀を手に持つ。






「アキラ!ヒロ!」






「ズバアッ!!」





「ズシュッ!!」





「グオオオオオっ いてええええッ!!!!!!!」





アキラが一人の胸を突き刺し、ヒロが一人の足を切り落とした。





「拓郎はどこだああっ!!!」


俺は組長に叫んだ。





「てめえらっあん時のガキか!? こんな事してただですむと思うなよ!!」


と叫んだ途端 机の上に上り、俺に斬りかかってきた。





「ガチィィン!!!」


刀を刀で受け止めた!。




しかし凄い力だ。

「グウッ
アキラ 頼む!!」





「ウオオオオオオッ!!」
アキラが助けに来る 。



とその瞬間、組長は刀を戻し机から飛び降りヒロの方へ斬りかかった!。




「うわあああっ!!」

ヒロは隙を取られた。





「ズシュッ!!」





「…グ… あ … あ…」





ヒロが腹を刺された!。




「ヒロオオオッ!!」



アキラが組長に斬りかかる!!





「ガキがああっ!!!」





「バチィンっ!!」



アキラの振りかざした刀を下からの振り上げでアキラは刀を飛ばされた……





「ザシュンっっ!!」





「グアアアアッ!!」




「アキラ!!」





俺が助けに行く間もなくアキラは腹を真横に斬られた……





「百年はええんだこのクソガキがあっ!!」





アキラは前のめりに倒れた。




「ドタン………」




かかった時間約2分。



たった2分でアキラとヒロはやられたのだ。





2人からは大量の血が…





「アキラ!ヒロッ!」





俺の体が硬直した。




組長が刀を振りかざした。






「動け…動け…
俺の心を“復讐の憎しみ”でもう一度覆うんだ!!」






「デエエエイッ!!」

組長が刀を振り下ろした!!






「ガチィィン!」





刀で受け止め組長と向かい合う。






「グウッ 外道っ! てめえの後は拓郎だ!!」




「小賢しい!!お前も突き刺してやるっガキがああっ!!」




組長が俺を突き飛ばす!!




「ドカンッ!!! 」


後ろの壁に突き飛ばされた。




「死ね クソガキィッ!!!」



組長が俺に斬りかかる!!



「グワアッ!!」





俺はかろうじてよけたが足を深く斬られた。




「グッ…クソオッ!!」




「イテエ… こんな痛みは初めてだ… 気を失いそうだ…… ああ……
もういいや……」

俺は初めて体験するあまりの痛みに“諦め”の心が出てきた。




その時 アキラとヒロが視界に入った。





「……グッ ここで死ねっかよおおおっ!!!!!」



既に頭上に振り下ろされた組長の刀を弾き、組長の喉元に刀を真っ直ぐ突き刺す!!




「ブチュウウッ!!」




「死ねええええっ!!!!!」



俺は喉元を突き刺したまま壁まで押し込み、組長の首から出た刀を壁に突き刺した。



「ズンッ!!!!!」





組長の息の根を完全に止めた…。





「やったぞ……くっ …いてえ……」

足から大量の血が流れている。





「アキラ!ヒロ!」






すぐ近くにいたヒロの体を揺さぶった。



「………………」






どうやら




息をしていない…






ヒロは死んだ。








「そ、そんな……」






待っていたのは絶望。





夢で“枯れた声の持ち主”の爺さんが言った事。





夢ではなかった。






そして…アキラの方へ駆け寄った…。






無明…



なんと暗い事か…




何も見えない……




この暗闇は不滅か…
無限の彼方から続いているようだ…





俺にはわかっていた。




アキラが間もなく命を落とす事を……











続く。