「自殺!? って マジ? ノリ 今どこだよ!?」







「吉川んちのマンションのそばの公衆電話! 野次馬がすげえぞ!」






「すぐ行くよ!!」




と、家を飛び出し原チャリにまたがった。





「自殺… なんで止められなかったんだ…」





俺はそう思いながらバイクを走らせた。




時刻は22時半をまわっていた……










吉川沙織が住んでいたマンションは大きい道路の交差点にある馬鹿デカいマンションだ。




向かい側にはコンビニ、真横にそれなりに大きい本屋がある。




その馬鹿デカいマンションは2つあって もう一つの方は少し小さかった。





マンションに着くと敷地内にある小さな公園に人だかりが出来ていた。







「おい!だいじゅ!」



ノリが俺に気づく。




「アキラは!?」






「いや、まだ来てないな…」







俺達は人だかりの方へ歩いて行った。





警察が来て現場検証をしている。





「かわいそうに、イジメかしらね?」


「家庭内の事かしら?」


野次馬のおばちゃん達がひそひそと話している。





知ってる同じ中学の生徒もちらほら見かける。








「なあ ノリ… あの子相当追い詰められてたんだな…
助けてやれなかった…」






ノリは一点を見つめて

「…… うん…

俺は絶対に許さないぞ… 大樹、 俺に拳銃かしてくれよ。
俺、渡辺を殺すから。」

と言った。






「いや ちょっと落ち着けってば! 気持ちはわかるけどよ 1人ずつ頭使って殺らないと 失敗するから!!」






するとノリが突然

「いいからかしてくれよ!!
アイツを殺さないと沙織ちゃんが浮かばれねえよ!!
だから俺にやらせてくれよ!!」
と 怒鳴った。






その時アキラが現れ、俺達の肩を叩いた。

「おいおい 喧嘩すんなよ! どうしたんだよ!」

















野次馬がいなくなり冷静さを取り戻した俺達も帰ろうとしていた。







「ノリ… 大丈夫か?」






「…うん… 」

ノリはまだ何か考え事をしている。






今拳銃を所持しているのはアキラだ。

「ノリ、計画通りやらないと全てが水の泡になるぜ。」

アキラが言った。







「…… わかってるって…」





ノリは完全に“心ここにあらず”だ。






ユミと話した事を説明し、みんなと別れた。






恐ろしい展開になっていった。




この計画は成功するのか…


ヤクザから拳銃を買い、腐った大人2人を殺す…


ガキの考える“完全犯罪”の向こうには何があるのか…





そして次の日。











自分のクラスに入るとアキラが来て

「おい ノリ今日休みっぽいぞ」

と言った。






「マジ? 昨日の事がよっぽどショックだったんだろうな…」






アキラは

「なんかアイツ… 大丈夫かな… かなり参ってたよな。 」
と、心配そうに話す。






授業が始まっても 教師の言葉が耳に入ってこない。





次の3時間目は数学だ。





“あの”渡辺が担任だ。





頭に思い浮かべるだけで殺意が蘇る。





他の生徒からも渡辺は嫌われている陰湿な教師だ。








休み時間になり アキラの方へ行く。




アキラはノリの事が心配そうだ。





クラスでは他の生徒が昨夜の吉川沙織の自殺の話題で持ちきりだ。





遺書らしきものがあり、

「お父さん、お母さん、ありがとう」



と書かれていたそうだ。




“死人に口なし”…
真実を知っているのは俺達だけだ。






そして




俺がアキラと目が合い、アキラの方へ行こうとした時だった。







「キャアアアアアッ!!!!!」






凄まじい悲鳴が聞こえてきた。




俺達はダッシュで廊下に飛び出し、悲鳴の“主”を探しに行った。







階段の下あたりに誰かが倒れている。






大量の血と共に。






そして すぐ横に







刃物を持ったノリが 立っていた。






ノリが、渡辺を刺した。










続く。