学校の裏口に集まった3人。




「おいノリ 懐中電灯持ってきたか?」




アキラは興奮しているのがわかる口調だ。




「ああ なきゃ始まんねーだろ」



こういう時、ノリは心強い。


普段はおちゃらけてるが、ここぞという時に力を発揮する頼もしいヤツだ。







“砂利”を歩く音をなるべく消しながら校内に入る入り口まで近づく。






「まさか ここは開いてねーだろ…だから……」





アキラが一階にある技術室のベランダに飛び込んだ。





「よしっ!」




アキラが窓を開ける。




「今日、帰り開けてきたんだよ!俺って天才!」





アキラの“戯れ言”を無視して俺とノリもアキラに続く。





理科実験室は 三階だ。





「おい ライト ライト!」




ノリが懐中電灯をポケットから取り出し灯りをつけた。





「よし、早速 向かうぞ!」





俺達は裸足になり音をたてずに歩く。



まるで映画の忍者にでもなったように。




理科室が近づいてくる。




「おい 開いてんのかよ!?」




俺が言うと、 アキラがニヤリと笑った。




アキラが何かを手にしている。






「じゃ~ん 理科室の鍵 ちょっと借りてきました!」





「おいおい さすがだな」






アキラが返す。



「だって 殺すだろ!?アイツ」




と言って理科室の鍵を開けた。





「よし、とにかく 毒だ 毒!」






「毒ってなんだ?サリンとか?」





アキラとノリがテンポよく話す。





ノリが



「あった あった! 劇薬注意! この瓶だろ!?」





俺が


「間違いない? 」



瓶には確かに劇薬と書いてあった。





「よし、行くぞ! 」





足音を立てず早足で廊下を走る。





「“毒”落とすなよ!」







「大丈夫だって!」






2人のやりとりを聞いて 階段を下りる時、何かに気づいた。







「おい!ストップ! 灯りついてねぇか? 誰か職員室にいるぞ!」







二階にある職員室にうっすら灯りがついているのに気づいた俺達。






「おい、ちょっと覗いていこうぜ!」


アキラが興奮している。





ノリが


「やばいって バレたら計画が丸つぶれだぞ!!」







俺は胸騒ぎがした。

何かただ事じゃないような…







俺達は職員室に近づき、ドアの前にかがみながら立つ。







「 ん? 誰か話してんな… 少しドアを開けて覗こう…」





アキラがドアに耳をつけながら言った。







ドアの向こうでは、また新しい事件が起こっていたのだ。






まるで導かれたように、俺達は“目撃”する。







物語は、大円団に向かい 闇をまといながら疾走していくのだった。









続く。