「いいか 開けるぞ」



アキラが小窓を開けた。






薄暗い体育倉庫の中で何か聞こえてくる。




「……ことを 聞かない……すぞ!」




よく聞き取れない。



「おい なんだよ 何つってんだよ!?」




その時ユミが 叫んだ。




「もう 許して!!」





俺達2人は感づいた。




ユミは斉藤(仮名)に脅されている。






斉藤がマットにユミを押し倒した。





「いやあっ!!」





アキラが



「ただ事じゃねぇぞ!止めなきゃ!」




俺達は“問題児”だ。



俺は



「よし ! 見てろ!」






俺は入り口の方に周り込み ドアを



「ガンガン!!」




と 叩いた。





そしてすぐに裏に周りアキラと合流。




斉藤は焦って立ち上がった。




アキラが


「ナイス よくやった!」




と言い窓を覗き込んだ。




斉藤は 誰かが来たのかとと思ったのかそそくさと倉庫室から出て行った。




「おい 中に行くぞ!」




俺達は走って ユミのいる倉庫室に入っていった。





「おい、ユミ! どうしたんだよ!」





ユミはうずくまって泣いている。




俺はユミに惚れていた。
なんとも言えない感情が沸き起こる。





「おい、何があったか話してくれよ…」




ユミの顔は髪の毛がグシャグシャで見えない。





そしてユミが口を開いた。




「私…」




俺が



「何? 教えてくれよ!」




「待てって ユミに合わせてやれよ!」




とさえぎった。





俺も軽いパニックを起こしている。





ユミが続けた。





「ごめん。 ありがとう… 私ね こないだ デパートで… 万引きしたの… 」




なんとなくこの時点で次の展開が読めた。






「それを… アイツに見られてて、」





長い沈黙が始まった。





そしてユミはまた泣き出した。





俺達2人は顔を見合わせた。






俺はユミが好きだ。



そしてアキラもユミに好意を持っているのも知っている。






アキラがゆっくりと口を開いた。








「殺そう…」






おれはアキラの目を見てうなずいた。






産まれてから初めて 体中に“殺意”が血管という血管を駆け巡った。






俺達は



ユミの鳴き声を聞きながら、



その殺意が本物だという事に気付いた。









続く。