入院中、 おばあちゃん達の前でピアノを弾く事だけが楽しみだった。




たまりにたまったストレスもおばあちゃん達の喜ぶ顔を見れば忘れる事ができた。



彼女は相変わらず、暗い顔してやってくるが話し合いの結果 来なくなった。




彼女は就職活動中で某大手の企業に決まりかけていた。




もう1ヶ月たった頃から別れた方がいいと感じてはいたが“似た者同士”はなかなか離れる事はできない。



加藤締三さんの本の全く書いてある通りだった。



お互いは離れようとするが結局もとのさやに収まる。




しかし彼女がやっとの思いで決まったという某大手の企業を蹴り、小さいモデル事務所のキャスティング系の仕事を急に選んだ時、信用のない彼女に対し“見切り”をつける事を決めた。
やっとの思いで決まった企業を蹴りモデル事務所に就職する価値観が俺には解らなかった。


彼女は前に書いた通り 信頼を選ばず、“自分が良い人間だ”と思わせる嘘を選んだ。




信頼性ゼロで一体何が生まれるのか?

苦しみや猜疑心しか生まれない。




夜病院にて彼女からの電話で いつも通りの “私が私が”トークを開始。



就職先の話をした時 俺は別れを切り出した。





「悪いけど 別れよう。 好きだけど お前には信用が全くない。 俺は恋人としてお前といるのはつらい。 だから友達になろう。」と。




彼女は まさかの別れ話に 沈黙。



そしてしばらくして 悔しかったのか、もしくは



「まさか 私があなたにふられるなんて」 という気持ちだったのだろう。


彼女は地元のスポーツジム仲間から“姫”と言われちやほやされていた。


そのおとなしそうなルックスから皆 俺のように


「彼女は真面目で常識や大切な事がわかる素晴らしい女性なんだ」


と思っていたのだろう。



彼女に別れを切り出すのは本当につらかったが、俺も仕事面で完全に足を引っ張られていたため、背に腹はかえられなかった。



だけど 好きな気持ちはある。 だから 彼女がまた“都合のいい女”にならないように相談などができる友達になれれば、と思った。




今までも 付き合いが終わってもそういうスタンスを必ずとってきた。



まるで子供が何人かいる父親のようだ。



だから彼女も恋人ではなく 子供か妹みたいな付き合いができれば良かった。と思ったのだ。




こういう風に甘やかした俺にも責任はあったのだから。





彼女から発せられるのは“負け惜しみ”の言葉ばかり。





せめて最後くらいは相手の立場になって考えて欲しかった。




しかし彼女も“毒になる親”の被害者だ。

俺は彼女に電話で色々な事を伝えた。




今までたまっていたものを 別れをキッカケに全部はきだしたのだ。




そして彼女は信じられない行動に出る。




逆上した彼女はとんでもない行動に出たのだった。








続く。