その泣きながら…いや、鳴きながら登場した女は


いきなり



「〇〇(彼女の名前)もう 帰ろう!?」



現れたとたん、事を収集するのかと思いきや 泣きながらダメ出し……



さすがに俺も驚きを通り越し あ然としてしまった。



久しぶりに何か“特別なもの”を見たような感覚だ。




俺は 彼女に


「おい ちょっとあれおかしいから行くぞ」



と手を引っ張った。


俺は“身の危険”を感じた。




ストレスがたまり鬱状態の俺にはかなり厳しいボディブローだ。



彼女が


「私の知り合いを悪く言わないでよ!」

と言い出した。



いやいや さすがに言葉を失った。


「彼氏の悪口はいいんだ…」




どうやら 彼氏よりも自分よりも 周りの知人が絶対らしい…




なんやかんやで2人になったところに 彼女の知り合いの女の彼氏が現れた。



今で言う “草食系”の40前くらいの彼は 何か文句を言いに来たのかと思いきや


「とりあえず行くけど そもそも2人の問題だからね」




とマトモな発言をしてきた。



本当にその通りだ。



いきなり泣きながら現れて 話も聞かず 帰ろう……


ありえない…




2人きりになり彼女はケロッとしている。



泣くのは泣くのだが
しばらくすると何事もなかったようになる。



俺は振り回されて振り回されて限界に近づいてきた。



とにかく 自分にとって“耳が痛い”言葉を発する人間は彼女にとって良い人ではないらしい。




本当の友達なら 相手のためになることを言うだろう。



彼女はそういう親友を遠ざけていた。




時は経ち 俺が怪我で入院。



彼女も見舞いにはくるが 埼玉で遠いという理由で暗い顔でやってくる。




そして別れを決意する 決定的な瞬間が訪れる。



そして事態はとんでもない泥沼状態になることを知る由もなかった。







続く。