名前は…


の前に


当時渋谷のスポーツクラブで仲良くなったコがいた。




ショートの似合う美人で 俺もまんざらではなかった。




しかし 俺は 知人のアドバイスを振り切り子持ちの夫がいるコへ惹かれていった。



後に占い師に“恋愛禁止令”を出されるのも仕方ない道を選んだ。



道を選んだ…というより 道を作った。


人生は自分が歩く場所が道になるのだ。

当時の道は未知だ。



人の反対を振り切ってでも自分が“想う”方に人は歩むものだ。




キャバクラで出会ったコは“夫”に異常に束縛されていた。


束縛という範囲を超えた夫の異常な愛情。




彼女はあきらめていた。



しかし俺に出会い恋仲になっていくたびに別れたい、と再度思うようになったらしい。



俺も最初はそこまで好きではなかったが、彼女にどんどん惹かれていった。



しかし相手は愛情がないとはいえ旦那もち。




ロミオとジュリエットと言えばかっこいいがそんな映画のような綺麗事では済まされない。




何しろ彼女には子供がいたのだ。



確か6才くらいだったろうか。



彼女は全てを打ち明けてくれた。



俺のために誠意を見せてくれた。




子供がいる事を最初の“デート”で教えてくれたのだ。




子供の名前を聞いて 俺は言葉を失った。



名前を聞くと彼女は言いにくそうだった。



「名前は何て言うの?」






「… だいじゅだよ。」





感じも全く同じ、大樹だった。




偶然ではないんだろう。




全ては成長のために



何事も全てが



繋がり、



悲しみも



喜びも



憎しみも



全て巻き込み



呑み込んでいく。



全ては神の思し召しなのだ。




続く。