エレベーターから降りてきたのは、菊田早苗さんだった。





「うわっ菊田さんだ」




当時からトーナメントオブJなどでそのグラップリングの強さを発揮し怒涛の強さを見せつけていた人だ。




俺はエレベーターから降りてきた菊田さんに




「はじめまして、慧舟會の高瀬と申しますが今日一緒に練習させて頂けないでしょうか?」



と言った。



すると菊田さんは少し面食らった表情で



「ああ いいですよ」



と言ってくださった。




武道場の中は思ったより広くとても綺麗だった。



続々と“菊田軍団”のメンバーが集まってくる。




郷野さんや佐々木さん、サンボの林さん、小池さんなどが来た。




「うわ 郷野さんだ」




郷野さんの事も雑誌で見ていたので感慨深いものがあった。



一通り挨拶を済ませた。



「いきなり来て変な風に思われてないかな…」




人によって反応は様々だった。




明らかに敵対視するような人もいたが、基本的に皆受け入れてくれいた。




俺もそれなりに自信はあった。



18で寝技を始め、18で菊田軍団に練習をお願いしにいく。

普通に考えたら無謀だろう。




だが俺は結構やれた、と思う。



足関節技は対応できなかったが




「おっ コイツやるじゃん」



ぐらいにはできたと思う。



スタイルも慧舟會と同じ膝立ちからの寝技だったからだ。




そして遂に



菊田さんが



「やろっか」




と言ってスパーの時が来た。




「どれだけ強いのか。」




菊田さんの肉体はプロレスラーのようにゴツい。



慧舟會にこんな分厚い筋肉質な人はいなかった。




「お願いします」



と頭を下げ




スパーが始まった。





続く。