大事故を起こした俺。



野次馬が集まっている。



「くっ こいつら見てんじゃねぇ‥」



口に出したくても 全くでない。



かろうじて意識だけがあった。


体はぴくりともしない…



サイレンの音が聞こえる。



警察か


救急車か…



俺はまた意識がなくなり 気づくと


タンカらしきものに乗せられ病院に連れてこられた。



「やべえ 何の手術だよ…」




「麻酔 麻酔!!」


「はやくして!!」



医師と看護師のやりとりを聞きながら俺はまた意識を失った……







どれくらいたったろうか…



俺は気づくとベッドにいた。




医師が


「大丈夫かな?」



と 問いかけてきた。



俺は何の怪我をしたかもわからないが



「はい……」


と答えた。




窓の外を見ると 明るい。



「ああ 朝なんだ…」



ゆっくりとベッドから起き上がり 鏡を見る。



「うわっ…」



片目に青たんができ、複数縫った後がある。


腫れも酷い。




しかし体は動く。


怪我はこれくらいだと思った。



医師が言う。



「死んでもおかしくなかったのにね。」


どうやら俺はサイドからきた車の運転席のガラスに顔面から突っ込んだらしい。


相手に怪我はなかったようだが車や盗難のバイク……

そして警察に行かなければならない事に頭がいっぱいになった。




しばらくして母親が訪ねてきた。

昔より弱くなった母親は眉間にシワを寄せて

「心配かけて…」




と つぶやいた。



俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


車やバイクの弁償代は父親が払った“らしい”。




後ろに乗せたタメの仲間も軽傷で済んだらしい。



向こうの親には母親が謝りに行ったらしいが


「お互い様ですから…」



と言ってくれたらしい。




俺はしばらく入院する事になった。



「あー 可愛い看護婦さんいねーかな」


なんてくだらない事を考えてた時、



俺の部屋に医師が来た。




「高瀬くん、緊急に手術するよ!」





「えっ!? 手術って…」




俺は今まで経験した事がない怪我をしていた。



いや ほとんどの人が経験する事はないだろう。





手術室に連れていかれた俺はとんでもない事を聞かされる事になる。




怪我は顔だけではなかった…









続く。