俺の見学しにいったボクシングジムには 後にプライドで総合デビューする西島洋介さんがいた。



とにかく 強くなりたいという気持ちがあったのでオサムジムに通い始めた。


しかし 結局 人との交わり方もわからない俺は ほとんど通う事なく、いわゆる“かじる”程度の練習しかしなかった。


学校では、何のへんてつもない日常が流れたが、 ある日 完全に自分の弱さを知る事になる。



俺はこの学校に入ってから 1人 気にくわないヤツがいた。

コイツは夏休みを境に急に“垢抜けた”。


日焼けサロンか何かで色を黒くし、当時流行っていた“チーマー”みたいな事をしてると聞いた。


俺はコイツの目つきもデカくなった態度も気にくわなかった。


ある日の休み時間 俺はこの男と目が合い、向こうから


「なんだこのやろう」


と言われた。


俺も


「てめえこそなんだ」


と 言い返し、見事に“タイマン”に進行した。


俺は自分より背の低いこの男に負ける気などなかった。


しかもボクシングを“かじって”いる最中だ。



よし やってやる。


学校を抜け出し、近くの公園に行く。



今までタイマンを張った事はある。


小学生の時からだ。

こんな自分より小さいやつに負ける訳がない。


俺は

このムカつく顔に一発パンチをいれて倒してやろうと思った。


ボクシングをかじって 強くなった気でいた。
スパーもしたことがないのに…



そして“タイマン”は始まった。







続く。