いよいよアメリカに出発だ。


飛行機は何回乗っても慣れない。



打撃のトレーナーと飛行機に乗り込む。

まずはロスだ。



向こうに 知り合い夫婦が住んでいて そこのロフトに泊まらせて頂き 調整する予定だ。



長いフライトを経てロスに着く。



空港に着くと、俺は一冊の本を取り出した。

自分のインタビューの載っている格闘技雑誌“gong”だ。


これには理由があった。


前にオーストラリアで外見だけで ギャング扱いされた俺は入国するとき本当に嫌な思いをした。


MMA(総合格闘技)がスポーツとして成功しているアメリカならばパスポートを見せるより、格闘技雑誌を見せた方が早いだろうな…と思っていた。


予感は的中。


入国手続きの男はパスポートなど殆ど見ず 雑誌に釘付け。

俺の載っているページを見て興奮気味に格闘技の話をしてくる。


あっという間に手続きを済ませたが セコンドのトレーナーの方がつかまっていた。(笑)



そんなこんなで空港を出ると 友達夫婦の奥さんの方に携帯の電話で連絡。



アメリカのカフェに売っている食べ物や飲み物は本当にスケールがデカい。



マフィンをほおばりながら迎えを待つ。


初めて会う 奥さんはとても美人で性格の良さそうな人だった。


「これから一週間宜しくお願いします!」



自己紹介を済ませ車に乗り込む。



旦那さんは 寿司職人をやっていて まずはそのお店に行き 挨拶を。


「久しぶり!」



彼は 俺がお世話になっている社長さんの義弟で アメリカの大学に行っていた人だ。

プライドが好きで試合で使ったグローブをあげた事もある。

勿論初めて会ったのは日本だ。



軽く談笑をすまし 彼が仕事を終わるのを待つ。



その日の夜、彼の家に彼の友達らが来た。


彼はリョウジとタケシといってタトゥーが入りまくった日本人だ。



リョウジはなんと地元が隣同士で共通の知り合いがいる程だった。


彼は総合をやっていてケージの試合でも活躍していた。しかし今は怪我で長く戦線離脱していたのだ。

もう一人のタケシは日本でもレコード会社が決まっていたくらいの ハードコアなバンドのギタリストだ。


彼らと話は盛り上がり。

毎日 友達夫婦やリョウジやタケシ達と行動を共にする。


リョウジは怪我をおしてまで練習に付き合ってくれた。




そして

シカゴ出発が近づいてきた日にロスで成功されている、焼鳥屋の“新撰組”に行く事になる。

そこの社長も友達夫婦も全て繋がりがある。
人の縁は素晴らしい。


そしてまたここで素晴らしい縁が生まれる。


まさか ロスでこの人達と会うとは…


どうして必然はやってくるのか。