ミルコのグラップリングマッチの提示額。


それは 0円から


「2000万」に跳ね上がった。



俺はどうして社長が ありもしない“儲け話”を言ったのかサッパリわからなかった。


事務所内で



「社長があんな何千万も稼げるなんて嘘つくのがいけなかったんじゃないですか?」

と我慢しきれずに言った。



今井さんはビジネスマンだ。


お金が取れるなら取りにくるのは当然だろう。


最初はクラブファイトには金がないから…というのを理解してくれていたからノーギャラで…という話になったのだ。




ムリーロニンジャ戦を断ってまで欲しかったミルコとのグラップリングマッチは、あっという間になくなってしまった。




嘘は結局 自分の足を引っ張るのだ。


嘘に嘘を重ね 嘘の世界でしか生きられない人間もいる。



世の中は滑稽なバランスで成り立っている。




万事休す、 ミルコ戦もなくなった俺に次やることは?




2つあったチャンスは 一つも残らなかった。




しかし ニンジャ戦をもってきてくださった某敏腕ブッカーの方は さらにチャンスを作ってくれた。





そのチャンスと同時に 俺の所属する事務所内にも 暗雲が立ち込めていた。




人間は悲しい生き物なのか?。

人を騙し 何かを手に入れようとしても

結局は何も残らない。


残らないどころかマイナスになるのだ。


何と悲しい螺旋か。

人が人を欺き、憎しみを買い、自身の世界を狭め 終いには無となる。


後悔も反省もしない人間には成長がない。

例え神に肩を叩かれても 気づかないのだ……





ここで詳細を書くのには少し気が引ける。


とにかく 俺の所属していた事務所は大きな問題を抱えていた。




そして俺に来た チャンス……



3度めの正直か。




そのチャンスとは……







続く。