ブッカーの内田さんから聞いた言葉に


「はあっ!?」



となるしかなかった。



それは



「アイツがここを出るとき 格闘技を辞めるって言って出てったんですよ。 なのに 高田道場に入ろうとしたりパンクラスに入ろうとしたりしたんですよ。」



俺は格闘技を辞めるなんて一言も言ってない。
あまりの理不尽さに辞めようかと思った事はあったが そんな事は言っていない。



「オレ そんな事言ってないですよ」


内田さんも

「え そうなの?」


と言う。


川村会長や社長なども話を聞いている。


何故 そんな嘘をつくのか さっぱり見当がつかなかった。



高田道場に入ろうとした……


そういえば前にこんな事があった。




Jロックを辞めた後 新しく行った事務所と契約するかしないかの時 ある知り合いから電話がかかり



「おまえ 高田道場に入れよ! 高田さんも ウチにくればプライドにも出れるだろうって言ってるから。 高田道場で指導したりしろよ 高田さんには全部 事情を話してあるから!」




その頃高田道場は桜庭さん達が辞めて 選手がいなかった。


俺は考えたが 結局 ドリームステージがJロックに気を使ってその話は“おじゃん”になった。

「ウチ以外からはプライドは出さないよ」


と言われていたので 納得はできたが


何故パンクラスの話が出てきたのかも分からないし そもそも格闘技を辞めるなんて一言も言ってない。



何故 そんな嘘を言いふらすのか?
俺は悲しくなった。



ヒーローズの紹介をスルーしたからか? なんでだ?


頭で考えても整理がつかない。



しかしパズルは少しだが解けたのだ。


ディープに出れない理由など それが発端ななっているだろう。


佐伯さんが

「あれは高瀬君が悪い」

なんて事を聞いたのも


「この事だったのか!」

とわかった。



しかし その場で話を聞いていた人間もいるし 俺は辞めるなんて言っていないのは事実だ。



川村会長が

「会って 話をしてきなさい」


とおっしゃって下さった。


社長も


「それは会って話さなきゃダメだろう」


と。


俺も会って聞きたかった。


「どうして そんな嘘をつくんですか?」


と。


詳しくは書籍で記すが
証人もいる。


「会って話すしかない」

そう思った俺は


ある方に 相談をする。



しかし



これは 闇の世界の出来事だ。


簡単に話がいくはずがなかった。


人は何故嘘をつくのか。
人間は嘘をつくたび弱くなる。
嘘に嘘を重ね 自分にも嘘をつき やがて感情が麻痺し、嘘も嘘だと感じれなくなる。


暴力で生きる人間は暴力で滅びる。

嘘もまた 言葉の暴力である。


人の人生を狂わせる 驚異的な力を時に持つ。

しかし

これもまた 因果律。

「生きているうちに自分がした行いは必ず自分の身にふりかかる」

因果応報
カルマの法則。


神の遣いが 教えてきた言葉に嘘はない。

神に唾をはきかける者には必ず天罰が下る。


感謝の気持ちを忘れ
人を傷つけ 己の私利私欲のためだけに生きていく人間は 最期を迎える時、 周りには誰もいないだろう。

傷つける人間は傷ついているのだ。

弱い人間は弱さを隠すために何でもする。
そして自ら暗黒の地に足を踏み入れ 神のいない世界へと自分を追い込む。

暗黒は漆黒に、澱んだ暗黒の人生は もう自分自身でも制御が利かなくなる。

しかし神は暗黒の世界でも目を光らす。

カルマからは逃れる事はできない。

憎めば憎むほど…

傷つければ傷つけるほど…


闇に羽交い締めされた体は 毒に蝕まれ、醜くく、しかし あざとく……

闇に生きる人間に幸はない。





俺は相談のため電話をした。



「もしもし 〇〇社長ですか…







続く