クラブファイトの対戦相手…


マネージャーに電話を入れる。


「どうすか? 何人くらいきましたか?」



マネージャーは



「いや 高瀬さんの相手1人も来てませんね…」


俺は驚いた。



1人もいないなんてあり得るのか?

100万も賭けて 尚且つ 寝技師で通ってる俺に挑戦すれば名も上がるだろうに…



「なんか 1人もこなそうな感じがします。」



マネージャーが言った。


「マズいな 相手がいなければ試合自体 成立しない。」



俺は 考えた。



「よし、自分で探そう。」
と。



ここで 人を介して何人かにあたるのだが 全員に断られる。


名前は伏せるが。



さて、どうしたものか…

そんな時
ある人の言葉が頭をよぎった。


上井さんだ。


「いやあ高瀬さん 毛利さんとこの原井っていいよ! 試合みたんだけどめちゃくちゃ動くし あれは絶対化けるよ!」



頭によぎった上井さんの言葉を思い出し ダメ元で 山口の毛利道場の毛利昭彦さんに電話を入れた。

毛利さんは戦国武将で歴史的に有名な毛利元就の末裔にあたる格闘家だ。

はやく 相手を見つけなければ……


タイの選手は相手が決まっている。



「もしもし毛利さん!ちょっとお願いがあるんですが… 」


毛利さんとの交渉はすんなりといった。


「俺 ちょっと様子見ますんでいきなり 全開で極めにいきませんから」

と 体重差も考慮し 毛利さんに言った。


毛利さんは


「原井に聞いてみますね。」

と言ってくれた。



そして

返ってきた答えは即答だった。


毛利さんから電話がすぐ鳴り


「原井も是非やりたいと言ってますよ!」



相手は決まった。


相手の原井は九州のアマチュア修斗のチャンピオンでディープにもあがっている スタイルが所英男選手に似ている アグレッシブなファイターだ。

マネージャーに連絡し 相手か即答してくれた事を伝えた。


相手は決まった。


後は試合を向かえるだけ。

と そんな時 社長のつてで K-1MAXに出ている 小比類巻選手と練習する話が舞い込んだ。

ワタナベボクシングジムで磨いたパンチを試すチャンスだ。寝技の練習も大事だが将来的な事を考え打撃練習もメニューに入れていた。

ここで小比類巻選手とのボクシングスパーの話に移ろう。



当日の日 スパーを迎えた俺は、軽く自信があった。


「パンチを全て見切ってやる」


と意気込んでいた。


打撃のスパーは寝技と違った緊張感がある。

最高に楽しい。


コヒ選手が

「高瀬さんやりましょう」


俺はリングに上がった。


3ラウンドのスパーだ。

グローブとグローブを合わせる。


「どれだけK-1選手は強いんだろう」


緊張感は絶頂に達する。

周りの目が全てリング上の俺達に向けられた。



「カアアアァンッ」



ゴングが鳴った。







続く