ショーンとのスパーリングの内容は

心に留めておこう。


彼はとてもフレンドリーで 紳士な人間だ。

日本人の心を閉ざす人間性とは正反対にいる。



素晴らしいスパーリングだった。



ただ そう記しておく。



ショーンの教えてくれた技術は驚くべきものだった。


全てが新しい技術だ。



俺はその全てを吸収した。



ショーンと別れ


クラブファイトを向かえる。



ポスター取りのため 都内某スタジオに行く。

喧一さんや当日 パフォーマンスを見せてくれるHiphopのアーティストやレゲエダンサーの女の子などで本格的なポスター撮りだ。



ポスターには

「ウォンテッド(賞金首)」

と書かれた。



しかし 試合が近づくにつれ 不穏な空気か流れ始めた。


「え? 喧一さんが出ない!?」



寝耳に水だった。 一緒に頑張ろうとしていたのに 急に何故試合に出ない事になったのか。



これには 深い 深い 事情かある。


記者会見までやり、田村潔司さんに噛みつきまでしたのに、試合に出ないなんてあまりにも無責任だ…と思われた人は沢山いただろう。



表向きには


「脳内の持病のためドクターストップかかかった」


という事だった。



しかし、それ以外にも大きな大きな理由が存在したのだ。


それを知った俺は喧一さんを責める事は出来なかった。



人間と人間は ついては 離れ また ついて 離れる事もある。


縁には “良縁”と“悪縁”がある。


喧一さんは ある事をキッカケに社長と袂を分かつ事になる。


俺は 喧一さんが出場しなくなり メインに格上げされた。


相手選手をインターネットなどで公募した。




10分一本勝負だが 一本とれなくても俺と寝技で勝負して 有利に進めたら

「高瀬より強い」


という事だって言えるはずだ。



リスクはお互いにある。
いや 100万円かかってる俺の方がリスクは高いだろう。



俺に挑戦してくるやつは山ほどいるだろう、と踏んでいた。



タイ人の相手は応募があったと聞いた。



マネージャーに

「何人くらい来ました?」


と電話をした。



しかし 全く俺の思う事と反対の事が起きていた。



強さは時に 妬みや僻みだけでなく 単に“嫌われる”事がある。


心の片隅には、 俺に挑戦してくる勇気のあるヤツなどいるわけがないと思っていた。



しかし 100万円がかかっていたため


「もしかしたら」


という思いだった。




マネージャーが言った。

「高瀬さんの対戦相手……





続く