今 かぜの噂では 第2章で書いてきた 会社は既になくなっているそうだ。
母体となる会社もこの不景気ラッシュで経営がマズいらしい。

俺はその話を聞いてふと思った。
ざまあみろ なんて意地悪い事は思わないが、最後に会長さんと話した時会長さんが自分の話しを聞いてくれて、問題を解決するように向かっていたら不景気ラッシュの波に犠牲になる事はなかったのではないか…と。

人に与える…っていうのはそういう事だから。 あしからず。


話しはさかのぼって 大分昔の話しをしよう。

俺がまだ23くらいの時かな
ケイシュウ会で練習してた俺は、当時 須藤元気と仲良くしていた。

ある日 元気から電話があった。


「あのさ 新宿スポーツセンターで五味と練習始めたんだけど 大樹こない!? 3人いれば盛り上がると思うよ!」


ちょっと意外だった。

まさか五味選手と練習する事になるとは。

交わる事はないんだろなあ と勝手に思っていた。
俺は元気の申し出に


「もちろん混ぜてもらうよ!」

と快諾した。


どれくらい強いのか?

寝技には自信を持っていた俺は ニヤリとした。
「絶対に負けねぇぞ。」
俺は当日 後輩に
「五味選手と練習してくるわ」
と言い 高田馬場にある新宿スポーツセンターに向かった。

練習場に着くと2人はもういて 五味選手と挨拶を交わした。

「はじめまして」


意外に温和なのかな、と思いつつ 着替えを始め アップを開始。

俺は元気に 五味選手に聞こえないように

「強いの?」

と聞いた。

元気は

「うん 立ち技強いよ」

こういう 初めて練習をする相手がいると ゾクゾクしてくる。
何とも言えない緊張感が体中をはしるのだ。

「これだよ これ」

と心の中でつぶやいた。

もう楽しみで仕方ない。

俺は当時ケイシュウ会でも寝技はトップだっと思う。

「俺が負けるはずがねぇ」

もう練習というより 試合に近い気持ちだった。

そしてスパーが始まった。

初めは 俺と元気が組んだ。

当時俺は76キロだったため 3人とも体重はほぼ同じ。


元気は強い。 レスリングはもちろん、寝技もできる。 バランスが良いのだ。

ポジショニングはとれても極めるのはなかなか難しい。

グルグル動くし 引き込んでも捕まえにくい。


「ピピッ ピピッ」


五分を知らせるタイマーがなり、元気と握手。

うん いい感じで体が動く。

「調子 いいな…」


五味選手が 俺の方に来る。


「高瀬さん、お願いします」


ついに 五味選手との初スパーが始まった。


背中がゾクゾクとしっぱなしで仕方ない。


元気が見てる中 彼とのスパーが始まった。




続く