なんか寝れないから 続きでも…

五分三ラウンドならやれるかもしれません。と言ったのは 本当に使ってもらえないのかという恐怖と 上の人に少しでも信用して貰いたい。という心があった。 当時は1ラウンド10分の2ラウンド5分の3ラウンド5分という20分という長丁場を戦わなくてはならず、総合スパーもできない、走り込みもできない、で20分も戦える訳がない と思い、マッハさんは修斗あがりだから という理由をつけて 言った 本当に苦肉の策だったのだ。
すると
「よし 五分三ラウンドならやるんだな!」
と社長に言われ 会社側はすぐにドリームステージに交渉に入ったようだった。
「ああ やるって言っちゃったよ…」
と後悔しても ルール変更もまだ解らないまま直ぐに話は進み 取材や記者会見などが始まっていった。しかし…
ルール変更はされず、社長から電話があり
「なんかフジテレビ側が、大晦日なんでルールはそのままでって言ってんだよ… 何回も交渉したんだけどさぁ… どうする やめるか?」 と疲れきった声で言われた俺は、ここでやらないと言ったら更に会社での立場がなくなると思い NO と言えるはずもなく、結局 通常の20分ルールでやる羽目に。
この時やっていた練習は、足をなるべく使わなくて済む抑え込みだけのスパーとパンチのミットのみ。 追い込みなんてできやしない。

だけど決戦は刻一刻と迫ってきていた。
カーロスが怪我で欠場でなんで怪我してる俺がここまで言われて試合しなきゃならねんだ…
でも やらないと 扱い方が酷くなるに違いない…
スパーもしないで勝てるわけねぇだろ…

頭によぎるのはそんな事ばかり。
この時 薄々感づいたんだよね。
「ああ マッハさんのために組まれた試合なんだな」ってね。
だって怪我してる俺に無理に試合させるんだったら怪我してるカーロスにやらせればいいじゃん?(笑)
俺は アンデウソンに勝った貯金があって 怪我して練習できてないし 丁度良かったんだろうね。
「プライドのリングが本当に最強を決める場所だと思うか?勝てば次があると思うなよ!」
の意味が この時初めてビンゴしたんだよね。
プライド側は会社にどうしても高瀬をって言ってたみたいだし。怪我してでも出れば恩も売れるだろうしね。 後にも先にもあんなに口説かれたのは初めてだったからね(笑)

そして大晦日を迎えた。プライベートでも問題を抱えていた俺は 半分ヤケクソになってたな。
控え室に麻酔を打ってもらうためドクターを呼んでもらって 注射してもらったんだけど そのドクターさん、手がプルプル震えてたんだよね(笑)
「オイ 大丈夫かこいつ?」
って 麻酔打ってもらってんのに 案の定 効いてない!(爆笑)
あの人は本当にドクターだったのかな?

とにかくトレーナーの方にガッチガチにテーピングして頂き、(カモフラージュで反対側の膝にも) いざ 試合となるんだけど… 試合前 マトモな練習できてなかったんだけど 試合が近づくにつれて なんか妙に自信が出てきて
「俺はやれる!」
って思えてきたんだよね。
あれがいわゆる“開き直り”ってヤツだったんだろう。
そして いざ リングへ向かうんだけど。

またこの試合で とんでもない計算外、というか予定外の事が起きるんだよね…

続く。