只今、宝塚大劇場で公演中の、上田久美子さん初めてのレビュー「BADDY」ですが、私のような大嵌りする方もいらっしゃれば、余りに斬新なだけに、全く受け付けられない方もいらっしゃいます。賛否両論なんて物ではなくて、好きか嫌いかはっきりと別れるレビューです。そこで思い出すのが、過去に宝塚歌劇団に在籍していた、天才荻田浩一さんと児玉明子さんのお二人なのです。荻田浩一さんは、宝塚バウホール公演「夜明けの天使たち」でデビューしてから、真琴つばさ・檀 れいトップお披露目月組宝塚大劇場公演「螺旋のオルフェ」で、華々しくデビューされました。その後も、「バビロン」や「タランテラ」等々、それまでの宝塚歌劇の作品には無かった、異色の作品を発表してゆきました。「BADDY」と同様に、お芝居にしてもレビューにしても、宝塚の作品に風穴が開ける様な異色作ばかりだったので、私のような熱狂的な支持者も居れば、荻田浩一さんの作品は訳が分からない、と言うファンも沢山居ました。結局荻田浩一さんは、雪組公演「ソロモンの指輪」を発表して最後に、宝塚歌劇団を退団されました。「ソロモンの指輪」にしても、僅か30分の短いレビューでしたが、ストーリー仕立ての中には、夢や希望や喜び等を織り込んた、それは素敵なレビューでした。でもこの「ソロモンの指輪」ですら、こんなのショーでは無い、訳が分からないと言う意見も数多く有ったのも事実でした。児玉明子さんも、花組公演「冬物語」や星組公演「龍星」等の意欲作を発表されて、植田景子さんと共に、宝塚歌劇団の女性戯作者として、将来を嘱望されていました。ところが、宝塚大劇場公演「仮面の男」で、ファンから顰蹙を買ってしまい、歌劇団は児玉明子さんを、全く庇いもせずに、結局退団へと追い込んでしまいました。世間でも宝塚でも、出る杭は打たれると言われますが、出る杭が無ければ新しい風は吹かないのです。どうか、宝塚歌劇団及びヅカファンの皆様には、上田久美子さんを荻田浩一さんや、児玉明子さんのような憂き目に会わないように、温かい目で見守って上げて欲しいのです。でなければ、宝塚の先行きが、とっても心配なのです。