元専科のりつこさん(旧芸名:星条海斗さん)と薮下

 

「20年間本当に幸せでした」りつこ(元専科、星条海斗)さんが毎日文化センターに登場!

 

宙組公演「天は赤い河のほとり」「シトラスの風」東京公演千秋楽(6月17日)で退団した元専科の星条海斗さんが、8月22日、毎日文化センター(大阪)の「宝塚歌劇講座」にゲスト参加、退団を決めた理由や退団後の近況、さらには宝塚時代の思い出などを語ってくれた。星条さんは11年前にもこの講座にゲスト参加、二度目の登場なのだがなんと偶然にも同じ8月22日「そんなことってありますか」と本人も驚きの再登場となった。

 

 退団の翌日、星条海斗という芸名を卒業、本名の「りつこ」で活動をスタート。「仕事が山積で、在団時より忙しくて、退団してからまだ休みが一日もない」という多忙な毎日という。歌劇団のレッスンの一環で受けていたヤムナ(ボールを使用するトレーニング)講師の資格を取得、教室を開いたり、語学が堪能なことから通訳の仕事を依頼されてデンマークに行ったりして「まだ宝塚のマンションの整理もできていない」状態。9月はバウホールで「北翔海莉コンサート」への出演が決まり、「その間に整理をしようと思います」と笑う。

 

 退団は、宝塚の100周年が成功裏に終わり、それを見届けた安心感もあって、その翌年ごろから考えていたそうだが、歌劇団から専科入りの話があり「そこまで言っていただけるなら」と2018年7月19日の自分の誕生日までの2年間だけと、自分から期限を切ってそこまでは頑張ろうと思ったという。1998年に宝塚音楽学校に入学、2000年初舞台なので、ちょうど20年という区切りだった。サヨナラ公演が宙組で予科生時代に見た「シトラスの風」の再演に出ている自分が「なんとも不思議な縁を感じた」という。

 

 もともとフィギュアスケートの選手だったが身長が高くなりすぎたこととけがで断念、宝塚ファンの祖母に宝塚入りを勧められた。初観劇は花組の「ハウ・トゥー・サクシード」。「真矢みきさんがあまりにもかっこよくて、即入ろうと思った」と受験のために特訓、一発で合格した。入団後は人には言えないいろいろなこともあって「やめようと思った時もあったけれど祖母のひとつのことを10年はやりなさいという言葉があって10年は頑張ろうと思ったのですが、男役10年という言葉があるように男役が面白くなって、下級生の指導もするようになり、結局、次の10年は宝塚のために頑張った感じ。これからは自分自身のためにいろんなことをしたい」と夢を語ってくれた。

 

 20年間の宝塚生活の中でさまざまな役を体験、パワフルな役が似合う男役というイメージがあるが「お客様が全く来られなかった時のことを体験しているので、この役をやりたいとかはあまり思わず、与えられた役をいかに膨らませられるかということだけを考えていました」と、自分でこれという代表作は選べないという。評判だった「ME  AND MY GIRL」のパーチェスターは「コメディって大変なんです」代表作といっても過言ではない「ベルサイユのばら」のアラン役も「先生の指示通りに演じただけ」。「MERRY WIDOW」のミルコ役も「長の公演だったので、とにかく成功させることで頭がいっぱいでした」と冷静な分析。バウ初主演となった「ファルスタッフ」も「テーマがいのちで、私としてはちょうどいい時にやらせていただきました」と振り返った。一方、退団公演となった「天は赤い河のほとり」のウルヒ役のような寡黙な役が「本当は一番やりたかった役で、退団公演でさせていただけたことは本当に幸せだった」という。

 

 今後は「宝塚が好きなのでほかの舞台に立つことはないと思う」といい「生徒さんが120人いるヤムナが一段落したら、いずれはアメリカに帰国して、ワールドワイドな立場から宝塚を応援したい」と変わらぬ宝塚愛を誓っていた。

 

 北翔から誘われ、出演を決めたという「北翔海莉コンサート」は9月21日から25日まで宝塚バウホールで。

 

©宝塚歌劇支局プラス8月22日記 薮下哲司

 

 

雪組公演「ファントム」特別鑑賞会完売のお知らせ

 

◎…毎日新聞大阪開発主催の雪組公演「ファントム」特別鑑賞会「第6回薮下哲司さんと宝塚歌劇を楽しむ」(11月15日3時の回、宝塚大劇場)はおかげさまで完売いたしました。キャンセル待ちなどについては☎06(6346)8754(平日10時から18時まで)にお問い合わせください。