私が子供の頃の日本はインフレでした。子供ですから大人のことは知りませんが、毎回、自販機で買う缶ジュースが幼稚園くらいの頃、30円、その後毎年のように10円ずつ値上げされていったのを覚えています。120円で打ち止め、それから日本はデフレに突入して行きました。20年にわたりデフレが続いていた日本では物、サービスの値上がりを忘れてしまいそうで、世代によってはデフレしか知らない人たちもいます。今後、アベノミクスで缶ジュースは130円以上に上がっていくのでしょうか。

マレーシアは食料輸入大国です。南国のフルーツが沢山取れるイメージですが、多くの野菜、果物は輸入です。牛乳、ヨーグルト、チーズなども大半が欧州や豪州からの輸入品。ヨーグルトが平気でRM20-30(660-1000円)もしますので、ヨーグルト好きな私は「なんでヨーグルトごときで1000円も出すのだ?」と国産ヨーグルトをRM5程度で買ったりします。時に奮発してRM20以上のも買いますが。

当地に来て以来、いつも同じブランドのトイレットペーパーを買ってきましたので、物価の推移が分かります。6ロールでRM10台だったのが7年でRM15台。50%値上がりです。

マレーシアのインフレ率は公式発表では2-3%、実際の感覚では4-5%で、インフレ率は他の新興国と比べ高過ぎず、いい感じの物価上昇だとゼフィ中央銀行総裁をはじめとする金融当局は優秀だと感じてきました。しかし、2014年の後半は結構な上昇スピードだと思います。それは、原油下落と財政赤字悪化懸念によるリンギ下落による処が非常に大きいと思っています。輸入品はリンギ下落によりどんどん上がっています。いつも買っているシリアルも数年前はRM13台だったのに、今はRM17台。

政治的にもアメリカが背後で応援しているという野党党首のAnwar氏が収監され、マレーシアの政治が国際的にも信頼を失う中、イスラム金融センター設立などの国家プロジェクトを手掛ける国策会社1MDB社が債務不履行を起すなど、現政権の信頼が国際的に揺らいでいることもリンギ下落に拍車を掛けています。1MDBの問題はは民主国家なら政権が吹き飛ぶ程のインパクトですが、与党連合は政治力でなんとかこれを押さえ込むことができるのでしょうか。

GST施行以降、リンギが対米ドルでさらなる下落をするのではとウォッチしておりましたが、今のところ大きな動きは出ておりません。「噂で買って事実で手仕舞う」の格言の如く、昨年大きく下落したリンギはこの辺が底なんでしょうか。でも私を含め、多くのエコノミスト、アナリストは今後対米ドル4.0以上に落ちる可能性もありえるとています。