ナイフの厚さ | takara-kuruのブログ

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鈴木刃物製作所、カスタムナイフとニッパー爪切りを作ってます。
随時カスタムオーダーナイフ製作を受けてます。

画像は、ナロウタングのナイフ、ヒルトの穴を切削中!

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ナイフの厚さは設計の段階で決めて有りますが、鋼材のロットによって多少のバラつきが出ます。
例えば、5ミリ厚のナイフを設計したとして、
5ミリ厚の鋼材を準備する訳ですが、
5ミリ厚の鋼材は実際、黒皮の付いている状態で5.3ミリから5.5ミリ程度で、
製鋼上、この程度の誤差は仕方の無い事のようです。
黒皮を削り取り(60♯)更に平面を仕上げると5.1ミリ~5.3ミリ程度になり、
この厚さに合わせ、ヒルトの穴加工、又は、溝加工をする事になります。
したがって、切削工具のエンドミル、サイドカッター、メタルソーは0.1ミリ刻みで
準備の必要が有るとい言う訳です。

設計段階に決めた厚さより、僅か厚くなってしまうこの誤差、
私は、この件に付いて問題視するより、もっと重要な事が有ると考えています。其れは、

・そもそもの設計段階に決めるナイフの使途に合った厚さの選定。

・使途にマッチしたグラインド(各・ホローグラインドの深さ、フラットグラインド、コンベックスグラインド)
・刃付け

そして最も重要視している事は、”削りの抜け”です。文章での説明は難しいのですが、
各、グラインドで薄く削る事により刃を形成させる訳ですが、
ベベルストップ(刃の始まり部分の刃元)からポイントに向け、
如何に、均一に、シャープに削れるか?と言う事です。
この工程で、削り抜けが悪ければ、見た目どんなに素晴らしいナイフでも性能は悪い事になります。

この件、気付いていない方が多いのも確かですが、
製作者としては、
デザインの良さ、仕上げの良さより、最も重要な事で、刃物製作の基本と考えています。


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画像上、削り抜けの比較です。
上側のナイフはポイントに向けシャープにグラインドされ、下側のナイフはポッテリ厚く
切れ味、切り抜けが悪そうに見えませんか?