里川の件であれこれ考えていたら、川なんて昔からすぐそばにあって、いつも眺めていた、ありふれた風景の一部に過ぎなかったのに。しかし、それが実は「当たり前」ではなく、我々の暮らしに深く関わっていて、凄く重要なものだという思いに至った。

 例えば、『方丈記』の冒頭も「ゆく河のながれは絶えずして」ではじまり、或いは、芭蕉の句にも「五月雨を集めて早し最上川」もある。また、令和の今も語り継がれる美空ひばりの名曲にも「川の流れのように」がある。多分、調べれば、洋の東西、時代を問わず文芸・音楽・絵画等、作品のモチーフとして描かれているだろう。「川」だけで本一冊書けそうだ。にもかかわらず、だ。意外にも、川の事をそれ程深く意識しなかった。新たに考えるべき課題が生まれてしまった。

 そんなおり、たまたまテレビで、港沿岸の掃除をするために作られた専用の船の映像を見た。その船は川も遡ってゴミの回収をしていた。実は、多分、知らないところであのように「誰か」が掃除してくれていたんだろう。少し考えたらわかるが、川の清掃はめちゃくちゃ重労働だ。役所や業者に任せても、多分、限界がある。だから、時々地域の人達が総出でやってるんだと思う。NPO法人「里川ネットワーク」(仮)必要かも知れない。もちろん、前提として、川にごみを捨てないようにしてもらうのは当然だけど。