魚住昭さんといえば、徹底した検察批判で有名なジャーナリストだ。実際にお会いするまでは強面の人だと思っていたら非常に物腰も柔らかい人であった。私の特捜部体験などをお話するうちに、彼の検察に関するものすごい知識を聞いて、ぜひ検察の歴史から紐解いて、今の検察の問題点を暴いてくださいと、初対面にも関わらず、図々しいお願いをしてみた。

そしたら、ついにそれが「特捜部解体論」ということで、講談社のg2という雑誌に掲載されることになった。これは必見。どんな組織にも歴史はありその歴史が現在を形作っていると行っても過言ではない。私は仕事をする時もその仕事相手の組織や国、地域の歴史を調べることにしている。それが多くの影響を与えていることが多いからだ。特捜部も例外ではない。

かいつまんで内容を要約すると、こういうことだ。

明治維新後、薩長メインの新政府は陸海軍や内務省・大蔵省などの要職を押さえ、司法省などの当時2流・3流と思われていた官庁は維新の第二勢力であった肥前や土佐の勢力にあてがわれる。その中でも行政府にはマシなものが行き駄目な人間が判事・検事になっていたのだそうだ。そこに入るのが後の総理大臣となる平沼騏一郎だ。

彼は日糖疑獄を機に汚職摘発が民意を刺激し政治的権力を持つことを知る。そして、大逆事件や帝人事件という戦前の検察の暴走事件を指揮し、ついには政治的な対抗勢力を出し抜き、政治結社を作って最終的には総理にまで上り詰めるのだ。しかし戦後のGHQの司法制度改革は骨抜きにされてしまう。軍部の暴走や特高警察の暴走の影に隠れる形で自分たちの悪事をすべて彼らのせいにし、自分たちはGHQ幹部の疑獄をバーターにむしろ戦前よりも権力を持つ形になってしまう。それが検察官面前調書の証拠採用を有利に進める仕組みと、起訴便宜主義だ。そして独自捜査権も「必要に応じて捜査ができる」を拡大解釈して、特捜部の創設に漕ぎ着ける。その後はみなさん知ってのとおりだ。

いわば暴走を約束された組織とも言える。
小沢一郎元秘書のドキュメントや厚生労働省の事件についても言及があり、検察ウォッチャーには必読の書籍である。

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