昨日も東京JCのパネルディスカッションとかによばれて、日本の競争力強化や景気回復には何が必要なのか、成長戦略とは何かを聞かれた。即座に規制緩和という言葉が出てくる。規制が厳しい部門は何かとベンチャー的な新規参入が難しい。法律でがんじがらめにされているので、法令順守を徹底しようと思えば、ベンチャーの資金力や人脈・コネではどうにもならん場合が多いのだ。

そこで思ったのが日本の飲食店ビジネスのレベルの高さだ。東京は世界一といっても過言ではない。ミシュランガイドでパリと並ぶ世界で一番星が多い都市であるというのは、客観的に見てもレベルが高い事が証明されているということである。

もちろん、築地市場を頂点とする食材のロジスティックス・サプライチェーンが完備されていること、末端に至るまで食材を新鮮に食卓に届ける技術レベルが高い事なども影響しているが、それだけではないのかな?とも思ってしまった。雰囲気やサービスレベルも高いのだ。

それは飲食業界が実質的には厳しい規制を受けていないからなのではないかと思った。例えば米国では焼肉でも炭火焼肉を導入するのは難しいらしい。一部店舗内でも炭火焼肉店は存在するようだが、ほとんど存在しないのは店舗内での消防法関係がかなり厳しいからだそうだ。飲食店ではないが、海外でシャワートイレが普及しにくい理由は、洗面所など水周りにコンセントを設置することに厳しい規制があるからなのだそうだ。

日本で店舗内で炭火が使えないとなったら大変だろう。規制はあるのかもしれないが、実質的に黙認されているというような事も多い。例えば飲食店で天井の天板をはずしてコンクリートむき出しで営業している店舗が多いだろう。あれもビルによるとは思うが大抵は違法らしい。酒類を提供するのにも日本の飲食店は免許が必要ないが海外は必要なケースが多い。

また夜12時以降、原則として酒類を提供する店は営業できない国が多いが、日本は接客をしなければ朝まで営業してもかまわない。この接客というのも非常にあいまいというか実質的に接客をしていても見逃されている店も多い。バーなどでも個室は完全に個室になってはいけないのだが、地方などにいくと完全個室で営業している店も多い。

つまり、この適度な「ゆるさ」が日本の多様性のある飲食店文化を作り出し、世界に冠たる美食都市を作り出しているのではないかと思った。

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