パロマ工業元社長・有罪判決への感想 - ビジネス法務の部屋
経営トップは最高責任者なのだから、多数の死者が出た事故の原因の一端があり責任を取らなければならないと世論は迫ってくる。世論というのは元来そういうものだから仕方が無いし、少なくとも道義的責任や経営責任はあるだろう。ただし、それはあくまでも民事上の問題であり、損害賠償請求訴訟などあるだろうから粛々と進めるべきだろうし、辞任したりして経営責任の一端はとったともいえる。
しかし、今回の有罪判決である。こういった会社の代表者の刑事責任をこういう種類の問題で求めていくのは私はちょっと違うんではないかと思っている。検察審査会の起訴相当議決でJR西日本の経営陣が強制起訴される件についてもそうである。正直代表者が全てその種の問題の細かいところまで知っているとは思えず、結果として死者が多数でたから、世論の求めに応じて有罪判決を出したという印象が強い。
果たしてそんなことでいいのだろうか?
今後こういうことが続くと、事故のリスクが高い業種で経営トップは身柄拘束されたり、刑務所に入るリスクを常に考えながら経営するということになり、相当及び腰になってしまうだろう。少しでも事故の可能性がある製品は出さないということになり、技術的にはあまり優れていない製品しか出さないようにリスクを極力避けるようになるはずだ。経営トップがそのような判断をすると下手をするとその会社の競争力がなくなり衰退していくことになる。
例えば自動車の問題なんか典型的である。これからは中国のようなトップダウンの一党独裁政党が権力を握る国のほうが政府の庇護を受ければある程度自由にリスクをとらずにアグレッシブな製品開発に力を入れられるということにもなりかねない。例えば以前このブログでも紹介したエコバイク。電動バイクなのだが中国だと5万円以下で手に入るが、日本では20万円以上する。無駄に厳しい安全基準のせいである。
それでも専門家にいわせれば4輪車に比べバイクは転倒を前提にしており、輸入すれば中国価格のクオリティでも日本でナンバー取って走らせられるのだそうだ。しかし4輪は厳しすぎて無理だろうとの事。年間数千人の交通事故死亡者が出ているのに、相当厳しいのだそうだ。
確かに安全基準を強化すれば死者は多少なりとも減るかもしれない。しかし、刑事責任を強化することは逆効果を生む可能性がある。例えば重大事故が発生した際の事故調査委員会などへの協力を忌避したりする危険性である。実際にJR西日本の福知山線事故ではそのようなケースが起こっているし、古くはJALの123便事故でボーイング社の責任追及を日本の捜査当局が執拗に行ったため結局協力を充分に得られなかったということがあった。アメリカでは航空産業の保護育成と事故原因の徹底究明と今後の事故防止の対策のため、刑事責任を追及しない取り決めがあるのだ。
遺族・被害者感情を考えれば刑事責任を追及したくなる気持は分からないではないが、それは民事賠償金の請求でもある程度達成されるといえるはずだ。あまり状況が分からない可能性の高い経営陣にまでその責務を負わせることで結果として事故の再発防止に繋がらなかったり、社会全体が閉塞感に覆われることは避けなければならないと思う。
そう考えさせられる事件であった。
さて、いくつか記事を紹介。
大江参院議員、幸福実現党入りへ
零細新党ラッシュにまぎれて、資金力でものを言わせる幸福実現党がついに議席を獲得です。すごい。。。。
G渡辺会長「谷から挨拶ない」と激怒!亮子出馬に不快感
この種のおっちゃんは、挨拶があるかないかで人間の価値を決めたりするのが面白い。。。
あと、私のメッセージがちょこっと紹介されてる本。
それと、ライフハッカーというウェブマガジンにも掲載されています。うぉー仕事しすぎだ。。。
経営トップは最高責任者なのだから、多数の死者が出た事故の原因の一端があり責任を取らなければならないと世論は迫ってくる。世論というのは元来そういうものだから仕方が無いし、少なくとも道義的責任や経営責任はあるだろう。ただし、それはあくまでも民事上の問題であり、損害賠償請求訴訟などあるだろうから粛々と進めるべきだろうし、辞任したりして経営責任の一端はとったともいえる。
しかし、今回の有罪判決である。こういった会社の代表者の刑事責任をこういう種類の問題で求めていくのは私はちょっと違うんではないかと思っている。検察審査会の起訴相当議決でJR西日本の経営陣が強制起訴される件についてもそうである。正直代表者が全てその種の問題の細かいところまで知っているとは思えず、結果として死者が多数でたから、世論の求めに応じて有罪判決を出したという印象が強い。
果たしてそんなことでいいのだろうか?
今後こういうことが続くと、事故のリスクが高い業種で経営トップは身柄拘束されたり、刑務所に入るリスクを常に考えながら経営するということになり、相当及び腰になってしまうだろう。少しでも事故の可能性がある製品は出さないということになり、技術的にはあまり優れていない製品しか出さないようにリスクを極力避けるようになるはずだ。経営トップがそのような判断をすると下手をするとその会社の競争力がなくなり衰退していくことになる。
例えば自動車の問題なんか典型的である。これからは中国のようなトップダウンの一党独裁政党が権力を握る国のほうが政府の庇護を受ければある程度自由にリスクをとらずにアグレッシブな製品開発に力を入れられるということにもなりかねない。例えば以前このブログでも紹介したエコバイク。電動バイクなのだが中国だと5万円以下で手に入るが、日本では20万円以上する。無駄に厳しい安全基準のせいである。
それでも専門家にいわせれば4輪車に比べバイクは転倒を前提にしており、輸入すれば中国価格のクオリティでも日本でナンバー取って走らせられるのだそうだ。しかし4輪は厳しすぎて無理だろうとの事。年間数千人の交通事故死亡者が出ているのに、相当厳しいのだそうだ。
確かに安全基準を強化すれば死者は多少なりとも減るかもしれない。しかし、刑事責任を強化することは逆効果を生む可能性がある。例えば重大事故が発生した際の事故調査委員会などへの協力を忌避したりする危険性である。実際にJR西日本の福知山線事故ではそのようなケースが起こっているし、古くはJALの123便事故でボーイング社の責任追及を日本の捜査当局が執拗に行ったため結局協力を充分に得られなかったということがあった。アメリカでは航空産業の保護育成と事故原因の徹底究明と今後の事故防止の対策のため、刑事責任を追及しない取り決めがあるのだ。
遺族・被害者感情を考えれば刑事責任を追及したくなる気持は分からないではないが、それは民事賠償金の請求でもある程度達成されるといえるはずだ。あまり状況が分からない可能性の高い経営陣にまでその責務を負わせることで結果として事故の再発防止に繋がらなかったり、社会全体が閉塞感に覆われることは避けなければならないと思う。
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リバティーンズ マガジン No.01
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