先日車で移動中、車内でワンセグ放送をみていたら、三菱MRJの話だった。YS-11以来の国産ジェット機の話。国内航空産業はアメリカの下請けに甘んじているとの話だった。こういう話をきいていつもうんざりする。こんなグローバル社会の時代なのに、あいかわらず日本独自でなにかをやらなきゃいけないという発想自体が貧困じゃないのだろうか。

たとえば、もともと日本企業だったホンダはエンジン開発に成功し、ホンダジェットを作っている。もちろんMRJとは規模が違う話だ。しかし、彼らに日本企業が云々という気概はない。政府の補助金で国産ジェットを開発という話でもない。日本に位置する企業は世界を舞台に航空機を購入するボーイングの主要部品を生産している。それで十分ではないか?ボンバルディアやエンブラエル、そしてロシアや中国の企業と対抗して中型ジェットという過当競争に参入する意味があるのか?民間企業だったらそれは勝手だが、政府の補助金を使う意味があるのだろうか?

国産スパコンでも思ったが、日本という中途半端な国のサイズでなんでもかんでも世界の最高技術レベルで産業育成をしようとするのは官僚のおごりというか、自己実現のような気がしているのだ。経済の規模や民間の活力を生かそうという動きがないまま、国だけが国債で借金をかさね官僚の世界を目指す気概のもとに予算を無駄使いしている気がするのだ。

なんかちょっと違うかもしれないんだが、大河ドラマ龍馬伝をみていて坂本龍馬が土佐藩を飛び出すときに土佐藩の要職にあった吉田東洋に対し、土佐藩のことだけを考えて生きられなくなったと龍馬が言うシーンが話が出てくる。今の日本人の多くは土佐藩のこと=つまり日本のことしか考えられなくなっているんじゃないか。食料自給率の話にしたって、国産品にこだわる話にしたって、すべてそうだ。もう日本だけのことを考えていればよい時代はおわったのではないか。

あんなドラマを権威主義、保守主義の権化のような放送局であるNHKがやっているのは単なる視聴率競争のためか、それとも国民の意識を変えたいのだろうか?その辺も非常に疑問であった、週末だった。

龍馬伝 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
福田 靖 作 NHKドラマ制作班 製作協力
日本放送出版協会
売り上げランキング: 1022