「威一郎氏の代から」虚偽献金 鳩山首相の元秘書

最近「野党新聞」になったことをtwitter上で高らかに宣言した産経新聞が何気にいい仕事をしている。もしこれが本当ならば、政治団体の事実上の相続も含めた大きな問題に発展する可能性を秘めている。政治団体が事実上無税で相続できることは上杉隆氏の著書「世襲議員のからくり」に詳しいだが、相続税や所得税逃れのための献金と言われてしまうような献金が見つかってしまう可能性もある。

既に時効になっているものも多数あるだろうが、この話を聞いたときに思い出したのが西武鉄道の堤さんの事件だ。あれも親父の代から行われていた株式の偽装だ。東証の上場基準を維持するために実質的には堤オーナーが所持していた株を名義だけ部下や知人のものに替えていたわけだ。実際は自分の金を献金していたのに、個人が献金していたかのように装う。

最初は個人献金の比率が多いように装うためという理由だったと説明されていたが、果たして個別企業の献金すら合法であった親父の時代に個人の献金を多く装う必要があったのだろうか?誰かが税金などで得をする仕組みがあったと考えるのが自然であると思うがどうだろう?

堤さんの件は、当時まだ上場していた企業であり、しかも上場基準を維持するために第三者割当などでさらに偽装を重ねたため逮捕・起訴され有罪になってしまったし、株式の値下がり分を補償させられるはめになりそうだが、鳩山氏は政治資金規正法違反のわりと軽微な罪で秘書が罰金刑になるくらいのリスクしかなさそうだ。

同じようなシチュエーションで同じようなことが行われていたのに、立場や状況が少し異なるだけで、こうも天国と地獄の如く異なっているというのはなかなか面白い対比かもしれないとふと思ってしまった。

世襲議員のからくり (文春新書)
上杉 隆
文藝春秋
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